【数字が苦手な人に!】MBA で財務を専攻した applemint 社長が伝えるたった2つの会社を分析するポイント

【数字が苦手な人に!】MBA で財務を専攻した applemint 社長が伝えるたった2つの会社を分析するポイント

こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。

企業を分析する時、よく「財務諸表を見ろ!」「数字は嘘をつかない」、なんて聞いたことありませんか?

僕はそんな話に感化されて、東京でサラリーマンだった時代に、世界4大会計事務所の一つと言われている某会計企業が開いた財務中級セミナーに、参加したことがあります。

講師の方は非常にわかりやすくて面白かったのは覚えていますが、内容はあまり覚えていません?その理由はなぜか?今思い返すと、セミナーの内容を忘れてしまう理由は二つあると思っています。

セミナーを忘れた理由

1. セミナーの内容に共感できない、知っていても自分の事のように考えられない
2. 流動比率や自己資本比率など、財務として大事な数字の計算方法は聞いてもすぐに忘れる

ということで、セミナーから約7年が経った今、あのセミナーが良かったのは覚えていますが、具体的に何を学んだかは覚えていません。財務を自分のことのように感じるには、財務が自分たちの普段の業務やビジネスと関連性がなくてはいけないと思っています。

そこで今回は、僕が applemint スタッフ用に作った、 applemint の財務表の見方、ビジネス分析のトレーニングコンテンツを一部ブログにしました。企業財務や、会社の分析の仕方に興味がある人は必見です!

絶対に覚えておいてほしいたった2つの概念

finance

まず、applemint では企業分析をする際、自己資本比率や流動比率など、細かい財務指標は忘れるように指示しています。その代わりに僕が伝えているのは、たった2点です。

佐藤流財務諸表ポイント

1. 会社がどうやって儲けているか
2. 儲けを最大化するために、企業は何に力を入れているか

例えば、このブログをご覧の方が台湾ですごい物を見つけたとします。まだ日本では売られていない、あなたしか知らないものです。そこであなたは、それを日本で売ってビジネスをしようと考えます。この時のあなたの商品一個あたりの儲け方は以下になります。

計算式

(日本で売る価格) – (台湾で仕入れた価格) – (郵送コスト) – (商品一つあたりにかかる人件費など) = 儲け

これが #1 の『会社がどうやって儲けているか』、のざっくりした意味です。別に何も難しくありません。商品の儲けを分解しているだけです。次に、台湾で掘り出した物を1年間日本で売った場合の営業利益を計算します。計算は以下のように求められます:

営業利益計算式

(売上) = (販売個数) x (購入単価) – (仕入れコスト) – (人件費とかのコスト)

まずは、このことを頭に入れておきます。次に今回の事例で商品の1個あたりの儲けはどのように最大化できるか考えます。物事は何でも因数分解すれば、どれが変数で、どれが定数か分かります。変数は努力でどうにかできる数字で、定数は自分達でコントロールできない数字です。

上記の営業利益計算式から、定数と変数を洗い出します。

変数

1. 日本で売る価格を上げる
2. 台湾で仕入れる価格を下げる、同じ商品をもっと安い値で購入する
4. 商品にかかる人件費を下げる

定数

1. 台湾で仕入れる価格を下げる、同じ商品をもっと安い値で購入する
2. 郵送コストを下げる

台湾の仕入れ価格が重複しているのは、仕入れ価格は場合によってはコントロールできて、場合によってはコントロールできないためです。

こうやって売上を因数分解し、変数と定数を見ると、売上を最大化する方法が見えてきます。台湾のグッズを日本に売る場合は、以下の方法が考えられます。

考えられる売上最大化の方法

1. 販売個数を増やす
2. 購入単価を上げる
3. コストを下げる

こうしてある事業の売上を最大化する方法がわかったら、次にみなさんがするべきなのは、分析する対象の企業が、変数に対してどんな努力をしているか見ればいいのです。

つまり僕の企業分析のポイントは本当に2つで、一つは企業がどのように売上を上げているかを見て売上までの式を立てること、もう一つは企業がどのように売上を上げる努力をしているか見ることです。

Facebook (Meta) のアニュアルレポートを見る

facebook image

では、最後にケーススタディとして Facebook (Meta) について調べてみましょう。

leo (佐藤峻)

このブログでは Meta ではなく、Facebook と呼びます(そちらの方が馴染みがあるため)

とその前に、今一度冒頭で僕が話した、財務諸表を見るポイント 2点を Facebook に置き換えて考えてみましょう。

Facebook のチェックポイント

・Facebook はどうやって儲けているのか?
・Facebook はどうやって儲けを最大化するのか?

まずは Facebook がどのように儲けているか調べるます。ちょっと古いですが、2018年のアニュアルレポートを参考します。すると 42ページ目にしっかりと Facebook がどうやって儲けているか書かれていました。

facebook annual report
参考:https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/annual_reports/2018-Annual-Report.pdf

Facebook のアニュアルレポートには、「売上の全ては広告費です。」と書かれていました。その広告費は、広告主が広告代理店や Facebook の代理店を通して、Facebook の広告商品を購入して成り立っていると書かれています。

Facebook はものすごいビジネスをしているイメージですが、売っている商品が広告だけで、それを買っているのは Facebook で広告を出したい広告主や、広告代理店というなんともシンプルなビジネです。

Facebook の儲け方

buildings

では Facebook が儲けるまでの一連の流れはどんな感じでしょうか?Facebook の儲けを以下のように因数分解してみました。

Facebook の儲けを因数分解

営業利益 (儲け) = 広告費の収入 – 仕入れ (データセンター、サーバー施設など) – R&D – マーケティング費 – 従業員の給与

次に、 Facebook がどうやって儲けを最大化するか考えます。やり方は主に以下の3つに集約されると思います。

Facebook が儲けを最大化するためのポイント

1. 広告費の収入を上げる
2. 仕入れ (コスト) を下げる
3. R&D やマーケティング費、人件費を下げる

広告サービスを提供するために必要なデータセンターやサーバー施設のコストを下げることはほぼ不可能でしょう。データセンターは世界23億人のユーザーデータを管理する訳ですから、セキュリティや施設は最高にする必要があります。

その他、広告主にとって効果的な広告商品の改良や開発を手掛ける R&D や人件費を下げるのも難しいでしょう。マーケティングの費用は場合によっては下げられるかもしれませんが、営業利益には大した影響はないでしょう。

そうすると売上を最大化するには、広告費の収入を上げるしかないのが分かります。

では広告費の収入をどうやって上げられるでしょうか?この時に重要なのは、そもそも企業はなぜ Facebook に広告を出すかです。答えは簡単で、Facebook に広告を出せば売れるからです (笑)ではなぜ Facebook に広告を出せばサービスが売れるのか?

それは Facebook に人が集まるからです。

つまり、Facebook を分析する上で大事なのは、ユーザー数ということです。
それも、アクティブなユーザーでなければいけません。Facebook に一度登録したけど使っていないユーザーは、 Facebook に集まっていないため、意味がありません。

Facebook がこれからも利益を上げ続けるには、アクティブなユーザー数を増やすしかないのです。念の為 Facebook の売上とユーザー数の相関を調べたところ、相関係数が0.98ありました。ユーザー数が増えれば、売上が増えるということです。

Facebook の株主もそのことは理解しており、アニュアルレポートには、しっかりアクティブユーザー数の推移が記載されています。以下、少し古いデータですがご覧ください。

facebook active users
参考:https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/annual_reports/2018-Annual-Report.pdf

マンスリーアクティブユーザー23億人ってすごいですね…
特に左下のアジア圏のユーザーの伸びが顕著ですね。

Facebook のユーザーを維持する努力

ここまで長文をご覧になりありがとうございます。あともう少しだけ Facebook についてお話をさせてください。近年、Facebook はなぜ急に Meta に社名を変更して、メタバースに何億円もの投資をすると発表したかご存知ですか?

理由はユーザー数です。メタバースという空間が他の競合他社に構築されユーザーを取られると、Facebook は売上が下がります。理由は彼らの広告収入はユーザー数によって支えられているからです。

このように企業がどのように儲けているかわかれば、企業の次の動きのロジックもわかってきます。

結論:2つの概念を改めて考える

cash

改めて企業を分析する上で大事な、概念を繰り返します。

1. 企業がどうやって儲けているか
2. 儲けを最大化するために、企業は何に力を入れているか

applemint では企業を分析するという目的において意識しているのは、企業はどうやって儲けているか、そしてその儲けをどうやって最大化するか、のみです。

どの企業を分析するにしても、共通して見るのは、『事業内容』、『その事業の儲け方』、『営業利益』、『売上/営業利益を最大化する努力』、です。

ちなみに、applemint では Facebook の他に、吉野家 vs. 松屋のケーススタディ、Nike (製造業) のケーススタディや、飲食業でも異色のマクドナルドのケーススタディを以前しました。

特に吉野家と松屋のケーススタディーは非常に面白くて、同じ牛丼を売る会社なのに、儲け方が全然違うのが非常に面白いです!

leo (佐藤峻)

結構前にしたので、今どこにあるかちょっと分かりませんが、探せばあります!(冷汗)

この記事がどなたかの財務知識の助けになれば幸いです。

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Leo Sato 佐藤峻

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