【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向

【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向

こんにちは applemint代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
“マーケターの仕事は売れる仕組みを作ること”、と某有名マーケターが言ってました。

売れる仕組みを作るためには、消費者の心理を理解しなければいけません。
消費者の心理を理解するためには、まずは消費者が何にお金を使っているか理解する必要があります。

これが台湾のマーケティングの第一歩だと思います。

しかしいくら「台湾」「マーケティング」と検索しても、台湾人の消費傾向を書いてくれているような記事が見つかりません。なぜでしょうか?

単純に台湾人の消費傾向を調べるのが面倒で、誰もボランティアでしたがらないからだと思います?

そのせいか、Google 上にある台湾のマーケティングに関する情報は、「台湾人は親日だ」、「台湾人は Facebook 使用率が高い」、「台湾のデジタル広告の市場が伸びている」、といった表面的なものばかりが並びます。

今回はそれらの情報から、一歩踏み込んで、私が台湾人の収入と支出を細かく見て気づいた、台湾人の消費傾向をお伝えしたいと思います。

かなり細かく数字を見たため、かなり有益な情報になっていると思いますので是非一読ください!

まずは支出の原資である所得を見てみた

income656 in 【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向

まずは2020年の台湾の可処分所得(disposable income)を調べました。

以下日台交流協会が発表した 2020年の可処分所得をご覧ください:

可処分所得1312 in 【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向

調査結果によると、台湾の1世帯あたりの可処分所得は108万元でした。また、一人当たりの可処分所得の中央値は32万元です。

これに対して日本の可処分所得はどうでしょうか?

OECD(経済協力開発機構)のデータベースによると、2020年の日本の1世帯あたりの可処分所得は2.99万ドル(当時のレートで約319万円)でした。

参考:【なぜか台湾と日本を比較したがる日本人】日本と台湾の違い(佐藤峻の記事w)

2023年5月12日現在、1台湾ドルは4.378円です。つまり、108万元を円換算すると、472万円になります。

つまり円にすると台湾人の方が日本人より自由に使えるお金は多いんですね。

よく日本から台湾に来る人の中には台湾を見下している人がいますが、お金という観点では実は台湾人の方が日本人より上だったりします…

本題:台湾人は可処分所得 (自由に使えるお金) をどうしているのでしょうか?

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可処分所得(自由に使えるお金)が増えていることがわかったら次に、台湾人は自由に使えるお金をどのように消費しているかを見てみます。

可処分所得は通常2通りの使い方があります。貯蓄と消費です。要するに貯めるか使うかということです。

今回は”消費” (支出) にフォーカスをあてたいと思います。だいぶ古い数字ですが、政府系の統計サイトで得た2015年の数字をご紹介します。

人の消費行動はそんなに変わらないので、2017年にブログを書いた際の台湾人の消費に関する数字をそのままご紹介します。

food-beverage

まずは食品・飲料・タバコの支出をご覧ください。

2015年の食料品及びタバコの総支出総額は15年前と比べて 36.81% 増加してますが、その横の数字を見ると、常に全体の16-17%の消費である事がわかります。

次に、上の写真にはありませんが、衣類の支出は、2001年頃をピークに全支出に占める支出の割合は年々減り、2001年に 3.9% だった衣類への支出が 2015年には 3% 程度になりました。

この傾向は今も続いているのではないかと思います。

住宅・水道などの支出〜台湾人の家賃から年収を逆算してみる〜

rent water 1 in 【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向

次に住宅、水道、電気代などについてお話します。
(参考: http://win.dgbas.gov.tw/fies/a11.asp?year=105)

住宅、水道、電気代の支出はコンスタントに全体の 24-25% です。

つまり、所得が上がろうが下がろうが全支出に対して大体 25 % のお金を家賃やその他電気代や水道代に使っているということです。

そして、この考えを応用すれば、台湾人の給与が計算できたりします(笑)まず、一人暮らしをしている台湾の人がいれば、毎月の家賃がいくらか聞いてみてください。

次に、家賃関連の支出が可処分所得の25%程度であることを念頭に、逆算をすれば、所得がなんとなくわかってしまうということです。

例えば、家賃が 12,000NT の人の場合、12,000NT を25% で割った、 48,000NT ほどが給与である可能性が高いということです。

ただ、人によっては新卒で30,000 – 35,000元しか給与を得られない中一人暮らしをしている人もいるので、何とも言えません。

あくまでご参考に!

台湾には実家暮らしの人がたくさんいるので、何とも言えませんが…

増え続ける◯◯の支出!!

transportation

次に交通費を見ます。交通費は過去15年を通して、コンスタントに支出の大体 13% を占めているようです。

しかし、交通費がコンスタントに支出の13%を占めるということはおかしいと思いませんか?

公共の交通費はあまり値上がりしないので、通常収入が増えれば、収入に占める交通費の支出比率は下がるはずです。実際に台湾人の収入は上がっています。

income in 【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向
参考:中華民國統計資訊網家庭收支調查


交通費が可処分所得に占める割合が下がっていないということは、交通費の支出が上がっているということです。

これはつまり、台湾の人が中心部から、郊外の家賃が比較的に安くて広い場所に引っ越していることを表しているように僕は感じました。

郊外に引っ越せばその分交通費がかかります。そのほか車の移動が増えたことも考えられますが、今回は車の販売台数は調べていないのでなんとも言えません。

この仮説が正しければ、台湾の人の通勤の時間が増えることになるので、通勤の隙間時間に何ができるかアンテナを張れば、面白いビジネスを考えつくかもしれません。

娯楽への支出

次に、娯楽や文化、教育に関する支出についてお話します。

この支出は 2001年は全支出の12% だったのが、 2015 年には 9% に減りました。

つまり、台湾人は娯楽や教育に対して使うお金が減って、節約志向になっている可能性があります。

或いはテクノロジーの発達により、YouTube や Netflix など、そこまでお金をかけなくても、色んな娯楽が楽しめることが提供される時代背景も、関係しているかもしれません。

最後に、レストラン及び旅館 (ホテル) の支出を見てみました。

2000年と比べると全支出のうち、2015年のレストラン及び旅館への支出は8% から 11% まで増え、支出総額も 86% アップです。

物価が上がったことが影響しているとはいえ、節約志向になればこの数字は減るはずです。

つまり台湾人は、自由に使えるお金の割合が少なくなってきたにも関わらず、レストランや旅行への出費は増えているようです。これは非常に興味深いですね。

また、表には載っていませんが医療保険の支出も顕著に伸びており、総額だけでいうと、2015年は2001年から 96% のアップです。

高齢化社会という現実がじわじわきているようです。この事象に対して、台湾人の医療負担は低いため、財政が心配です。
(ただし医療費負担を上げれば、選挙に負けるため、台湾はいつまでも国民健康保険の費用をあげられないのでしょう)

まとめ

今回支出を調べてみてわかったことは以下です。

  1. 食料品への支出は増えている
  2. 衣類への支出は減少傾向
  3. 水道・電気・家賃への支出はコンスタントに全体の25%ほど
  4. 交通費への支出は増加中
  5. 娯楽や文化への支出は減少傾向
  6. レストラン・旅館への支出はかなり増加中

この消費傾向から見える私の洞察は、限られた生活費で贅沢をしようとするマインドです。

住居は郊外に広さを求め、衣類や娯楽への支出を節約する一方で、旅行にはお金をかけています。
なぜか?

これらの事象の本質は、もう少し考える必要があると思っています。
ただし、周りの台湾人を見ていて、どうやら台湾人はマズローの欲求でいうと、尊厳欲求のステージにいる印象を受けます。

日本人も大多数はこのステージにいると思いますが、日本人は 20年前にはすでにマジョリティーがこのステージに辿り着いていたのに対して、台湾はようやくマジョリティーがこのステージに辿り着いた印象を持ちます。

pyramid in 【2023年版】数字から見るリアルな台湾人の消費傾向
参考:http://www.motivation-up.com/motivation/maslow.html

私の友人は旅行やいいレストランに頻繁に行き、その都度インスタでその様子をアップします。

この SNS のアップ頻度が日本人に比べて、非常に多い印象を受けます。
これは大多数の台湾人が、他者から認められたいという欲求を内在しているように感じています。

もしこの仮説が正しいようであれば、私は台湾では他人に自慢できるような商品/サービスがうまくいく気がしています。
つまりその商品/サービスを受けていることが、社会的にステータスになるようなことです。

例えば台湾人がマクドナルドと超おしゃれカフェに行ったらどっちを SNS でアップするでしょうか?
もちろん後者でしょう。

これは台湾に限らず日本でも同じですが、台湾の方が後者を SNS にアップする確率が高いと思います。

なぜなら「私はここで食べた」という主張をしたいためだと思います。
日本人はおそらくどちらかと言うと、食べ物のビジュアルや店のビジュアルがいい場合に SNS にアップするのに対して、大多数の台湾人は有名店に行ったらアップする印象を受けます。

そこで私なら、レストランは少々ユニークなデコレーション、そこでしか見られない演出が効果的と思います。

価格は需要と供給のバランスを見て、少し高めの値段設定もいいかもしれません。
もしチームラボのようにユニークな空間を演出できたら、人々はそこへ行ったことを自慢するために行き、SNS にアップして拡散されそうです。

如何でしたでしょうか?
台湾人の消費データを見て私なりに結論を導いてみました。

今後も台湾のリサーチを続けたいと思います!

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Leo Sato 佐藤峻

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