こんにちは!台湾でデジタルマーケティング会社の代表を務める、applemint の佐藤 (@slamdunk772) です。
今回は、台湾に進出したばかりの企業や店舗が直面しがちな「魔の4ヶ月現象」についてお話ししたいと思います。
僕自身、台湾で8年以上ビジネスをしてきて、日系企業の出店支援や現地マーケティングに関わる中で、さまざまな成功と失敗を目の当たりにしてきました。
その中でもとくに印象的なのが、「最初は行列ができるほど話題だったのに、数ヶ月後にはすっかり客足が落ちていた」といったケースです😅
まー台湾に限らずどこの国でもそうですよね…
ただ、台湾って以上なほど初速がいいってことが多々あるんですよ。
このブログでは、僕が実際に見てきたブランドの浮き沈みや、台湾に進出するにあたって注意 or 意識しておきたいことについてお話をします。
これから台湾に店舗を出す方や、マーケティング施策を検討している方には、「なぜ最初はうまくいったのに、数ヶ月後に失速するのか」「どうやって長く現地で戦える仕組みを作るか」といった視点で、参考にしていただければと思います。
魔の4ヶ月とは?

いきなり「魔の4ヶ月」なんて少しホラーっぽいタイトルですが、何のことかというと、
台湾に進出した多くの日系企業が、進出後4ヶ月〜半年くらいで勢いを失い始める現象のことを指しています。
あ、僕が勝手に名付けています🫡
この話をしようと思ったきっかけは、最近、Googleアラートで台湾関連のニュースを見ていた際、たまたま台北市の「南港(ナンガン)」に新しくできたララポートが連日大盛況という話題を目にしたからです。
「すごいな〜」と思って読んでいたんですが、そのときふと頭をよぎったのが、「でも、これって半年後にはどうなってるんだろう?」という疑問が浮かびました。
というのも、台湾では本当に、最初はめちゃくちゃ流行ってるのに、4ヶ月、半年と経つと一気に客足が落ちるケースが多いからです。
ララポートは例外?台湾のモールトレンド

ちなみにララポート南港については、おそらく“魔の4ヶ月”は起きないだろうなと僕は見ています。
というのも、今台湾ではそもそも百貨店よりもモールに人が流れている傾向が強まっていているからです。
先日、僕らの某お客さんが日本から台湾へ来ましたが、ららぽーと南港へ行った後に、忠孝復興の Sogo へ行ったら、あまりの人のいなさにびっくりしたそうです(しかも週末)。
買い物もできる、食事もできる、子どもを遊ばせる場所もある…そんな複合施設が日本に限らず台湾でも好まれる流れがあるので、ララポートのようなモールはしばらく安定して集客できる気がします。
ただ、路面店や個別の飲食店、小規模店舗などの場合、この“魔の4ヶ月”が発生する確率は非常に高いです。
最初のブームはすごい

台湾に出店した日系ブランドの中で、僕が特に印象に残っているのがドン・キホーテです。
彼らが西門町に1号店をオープンしたときは、連日ものすごい行列でした。この行列は4ヶ月どころかその後1年ぐらい続いたのではないかと思います。
僕もオープンして1年ぐらい経った時に通りすがりましたが、見たときは「すごい」と思った記憶があります。
ただ、あの行列がずっと続いたかというと、当たり前ですが、そんなことはありません。
やっぱり1年くらい経った頃には、列がなくなって普通の人の入りに落ち着いていました。
もちろん、今でも一定の集客力はあるので成功例といっていいと思いますが、“オープン直後の行列=安定した需要”と判断するのは危険です。
コメダ珈琲も最初はすごかったのを覚えています。
朝7時のオープンにも関わらず平日の朝から行列が出来るような光景を見ましたが、今ではどの時間でもほぼ問題なく入れます🫡
海外初出店っていう日系企業は、外国の地ですごいブームをつい興奮してしまうのですが、ブームはいずれさります。
台湾を去った多くのラーメン屋さんも最初はものすごい行列でしたが、結局今では残っているのは、一風堂と一蘭と凪とかです…😱
よくある失敗パターン

今でこそこうしたトレンドを理解して、慌てない企業が増えましたが、未だに一部の日系企業は、こうした初期ブームに乗って、経営判断を誤ってしまうケースもあります。
例えば、
- 最初の1〜2ヶ月で大行列 → これはイケる!と判断
- 人手が足りない!と、急いで正社員を採用・増員
- 店舗の在庫や座席数も拡張
- 半年後、客足が減る → 売上は落ちるのにコストは増えたまま…
というような流れです。
実際、僕が知っているケースでも「1店舗目はうまくいったけど、勢いのまま2店舗目を出したら思ったよりも人が来ず、結果的にコストが重荷になった」という話を何度か聞きました。
あくまで僕の肌感ですが、台湾に進出した日系の飲食・小売系サービスのうち、6〜7割は半年以内に“落ち着いた客入り”に変化します。
逆に言うと、1年間安定して集客できているブランドは3割程度という印象です。
これは別に悪いことではなく、「現地に根付く」ってそういうものだと思うんです。
例えば僕の個人的なラーメン屋さんが撤退する仮説をお話しすると、日本のラーメンってそもそも台湾では平日にふらっと入ってランチとして食べるものじゃない気がします。
200NTD しますし、個人的に覚悟決めて入ります👊
ただし、もしもラーメンが牛肉麺ぐらいの安さ(1杯150NTD) になった時は、台湾人はそもそも麺を食べる習慣があるので、チャンスが広がる気がします。
あ、でもそれで利益が出なかったら元も子もありませんが…
対策:最初から“落ち着く”前提で計画を立てよう
このブログをまとめると、「最初にいっぱい人が来ても慌てない」、「最初の半年だけアルバイトを多めにする」とかってことに限ると思います。
「そんなこと言われて落ち着けるなら初めからそうやってるわ!💢」って思うかもしれませんが、本当にそれしかありません。
なんとか耐えるしかないです。
また、この時期に下手なサービスを提供すると、台湾ではGoogle のレビューにガンガン書かれるので、日本からのヘルプもこの時だけ強化していいと思います。
けれどもブームは必ず去ります。最初のブームを見て、「あ、俺ら台湾で行ける」って勘違いしては行けません。
もしこれから台湾に店舗を出す、日本の商品を展開する、あるいはマーケティング施策を考えている方がいたら、ぜひこの「魔の4ヶ月」を頭の片隅に置いておいてください。
あくまで一時的なブームとして初期の来客を捉え、本当にリピートするお客さんは誰なのか、半年後に残る顧客はどこから来ているのかを見極めていくことが、台湾でビジネスを続けるうえでとても大切だと僕は思います。
以上、applemint 代表佐藤からでした!
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