こんにちは!台湾でデジタルマーケティング会社の代表を務める、applemint の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は「台湾の商業施設あるある」について、リアルなエピソードを交えてお話ししたいと思います。
これから台湾で出店を考えている方、特に商業施設にテナントとして入ろうとしている方には、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
Contents
台湾の商業施設に潜む“落とし穴”
まず結論から言うと、台湾の商業施設では、施設側の都合でテナント側が振り回されるケースがけっこうあります。
もちろん全ての施設がそうだとは言いませんし、特に日系の施設ではこういったことは少ないのですが、ローカル系の商業施設に関しては注意が必要です。
今回は特に印象的だった2つの事例を紹介しながら、どんなことに注意すべきかをお伝えしていきます。
ケース1:よく起きる「停電トラブル」

大規模な商業施設で停電ってちょっと信じがたいかもしれませんが、台湾ではわりと“あるある”です。
実際、2025年4月に台北の「南港(ナンガン)」というエリアにオープンしたララポート(おそらくララポート南港)が、オープン数週間後に停電騒動を起こしました。
フードコートが突然真っ暗になって、食事中の人がパニックに…というニュースが流れてました。
「おいおい何やってんだよ」と思うかもしれませんが、台湾ではよく起こることなので、一概に商業施設側を責めれないなーとも思っています😅
僕の元スタッフにも、以前フルーツを販売するお店で商業施設に入っていた方がいるんですが、その方の店舗でも停電が発生していました。
なぜそんなに停電が起きるの?
ズバリ、台湾の商業施設(特にオープンしたての商業施設)でよく停電が起きるのは、内装業者が電力配線の設計をミスっている、というのが主な原因だそうです。
通常、内装業者はすべてのテナントがフルパワーで電気を使った場合の最大出力を見積もって配線設計をするべきなんですが、それを怠ってしまうケースが多いそうです👊👊
特に台湾は5月ぐらいから暑くなって冷房がフル稼働します。そこで全テナントがエアコン全開にした瞬間、ブレーカーが落ちる…みたいなことが起きやすいんです。
ララポートは、冷房をそれほど強くする必要のない4月にオープンしましたが、5月に入り気温が上がったタイミングで各店舗が一斉に冷房を強めた結果、電力の出力が設計された配線のキャパシティを超えてしまったのでしょう…🤨
こういう停電したときに一番困るのが食品を扱う店舗です。冷蔵・冷凍食品が溶けてしまい、廃棄しないといけなくなりますからね…
で、商業施設側はその損害を補償してくれるのかというと、ほとんどのケースで「自己責任」扱い😱
「すいません、停電しました。商品がダメになったらあとはテナント側で何とかしてください」となるのが現実です。
3. ケース2:突然言われる「移転命令」

もうひとつ多いのが、商業施設側から突然「移転してください」リクエストです。
たとえば、ある僕らのクライアントさんは、もともと2階にお店を構えていたんですが、ある日いきなり「7階に移動してください」と言われ、7階に移ったと思ったら、数年後今度は「3階に移ってください」と言われました。
いやーこれはブチギレますよね。
ウェブサイトの表記とかも全部変える必要ありますし。
何が厄介かって、まだ契約している最中にこういうことが起こるってことです。
そして、移転先の店舗は空の状態。つまり、再度内装工事が必要になります…
内装費は誰が出す?

まだ契約している間の移転命令なので当然、商業施設側が負担してくれるだろう…と思いきや、これもほとんどのケースでテナント側負担です😱😱
内装費って普通に500万円とかかかるわけです…業種や店舗規模によっては1000万円以上の投資が必要になる場合もあります。
なのに、移転指示が来たらそれを受け入れ、なおかつ自費で内装までやらないといけない。これ、結構えげつないですよね…
なぜこんなことが起こるかというと、2つ理由があるかなと僕は思っています。
1. 台湾では不動産はオーナー側が強い
2. 台湾の商業施設は運営体制が緩い
台湾は商業施設に限らずアパートやマンションもオーナーが強く、契約期間中に家賃が勝手に上げられることが多々あります。
普通に約束違反なんですけど、抗議したら「あ、だったら出てっていいよ」みたいな感じです😅
あと、台湾の商業施設の中には、運営体制がやや緩いところがあるのが実情です。
急な移転命令が出される場合も、多くは商業施設側が深く考えずに、集客力のありそうな新たな店舗を見つけてきて、「どうしても良い場所に配置したい」という一方的な都合で話が進んでしまうからでしょう…
電力設計のミス、契約中の移転要求、トラブル時の責任回避…。これらの話を聞くたびに、やっぱり現地事情を知らずに進出するのはリスクが高いなと感じます。
日系施設との違い
もちろん、すべての商業施設がこうではありません。
日系の商業施設、たとえばララポートや三井アウトレットパークなどは、非常に管理が行き届いているという評判をよく耳にします。
その一方で、家賃やコストは高めと聞きます。
でも、それだけの「安心感」があるということで、今は多くの日本ブランドがそういった日系施設を選んで入居している傾向があります。
その結果、ララポートはまるで「日本のモール」のような雰囲気になっており、それはそれで悪くはないのですが、仮に日本人観光客が台湾を訪れたとしても、あえて足を運ぶ場所にはなりにくく、どこか内向きな施策に感じられます(とはいえ、円安の影響もあり、そもそも日本人観光客はほとんど来ていませんが…)
というわけで今回は、台湾で商業施設に入居する際に注意すべきリアルな話をお届けしました。
特に注意してほしいのは以下の2点です:
- 停電はオープン直後の施設ほど起きやすい。冷蔵・冷凍商品を扱うなら要注意!
- 移転リスクあり。しかも内装費は自費になるケースが多い
ということで以上、applemintの佐藤でした。
また台湾から、現場のリアルな話をお届けしていきます!
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