日本観光のデジタル課題──「サービスは素晴らしい、でもデジタルは惜しい」現状とその改善策

日本観光のデジタル課題──「サービスは素晴らしい、でもデジタルは惜しい」現状とその改善策

みなさん、こんにちは。applemintのEricです。  

先日、シンガポールで短期間の旅行をした際、日本のインバウンド観光業(特に旅行業界)が抱えるデジタル化の課題を、改めて実感しました。  

日本の観光業は世界的に「サービスが素晴らしい」と高く評価されていますが、デジタル領域になると「惜しい」と感じる部分が少なくありません。  

今回は、旅先での体験をもとに、日本観光業が今後強化すべき「国際化」と「ローカライズ」、そして「デジタル化」の視点から、日本のインバウンド戦略を考察してみたいと思います。

1. 日本観光デジタル化の課題

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多いアプリが日本のApp Storeでしかダウンロードできない  

1.1 サービスは素晴らしいのに「入り口が狭い」

日本の観光業は、景勝地やおもてなしの心で旅行者を魅了してきました。  

しかし、デジタルの入り口となるアプリやウェブサイトが、日本のApp Storeのみの配信や多言語未対応など、海外旅行者にとって「入りにくい」と感じさせてしまう部分があります。  

例えば:  

  • アプリが日本のApp Storeでしかダウンロードできない  
  • 予約サイトが多言語対応や多通貨決済に対応していない  

こうした「惜しい」部分が、素晴らしいサービスの前に大きなハードルとなっています。

1.2 礼儀正しさの裏側に潜むデジタルの惜しさ

日本のサービス現場は、礼儀正しさと細やかさで世界中の旅行者から高い評価を受けています。  

ところが、デジタル上ではその「おもてなし」が十分に再現されていない印象を受けました。  

例えば、ホテル予約や交通チケットの購入時に:  

  • フリガナ(カタカナ)必須で外国人には難解  
  • 国際電話番号が入力できない  
  • 日本式の住所入力や郵便番号が必須  

こうした仕様は、きめ細かなサービスを追求するあまり旅行者には煩雑に映ってしまうこともあります。  

今後は、フォームの簡素化やGoogleアカウント・Apple IDの自動入力、UIの多言語化などを通じて、「オンラインでもおもてなし」を感じられる仕組みづくりが期待されます。

2. シンガポールの事例:小国でもデジタルで差をつける

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2.1 グローバル対応が当たり前のデジタル設計

シンガポールでは、交通、飲食、エンタメなどあらゆるサービスが世界中のApp Storeでダウンロードでき、どの国の旅行者でもスマホ一つで便利に使えるのが当たり前になっています(例:Grab)。  

こうした仕組みは、日本でも旅行者の利便性を高めるために参考にしたいところです。

2.2 小さい国でも負けない体験価値

シンガポールは国土面積こそ狭いですが、多様な文化・ビジネス・ショッピングの魅力をデジタルの力でしっかりと伝えています。  

リアルタイム情報、オンラインチケット、多言語サインなど、「わからない」「不安」といった旅行者のストレスを減らす仕組みが整っています。  

これらは日本にとっても大きなヒントとなるでしょう。

3. 日本観光業に必要な「国際化」「ローカライズ」「デジタル化」

3.1 国際化:海外旅行者が迷わず使えるサービスを

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国際化とは、単に翻訳することではなく、旅行者が「使いやすい」と感じる仕組みそのものを指します。  

具体例:  

  • 世界中でダウンロード可能なアプリ
  • 海外クレジットカード・多通貨決済対応  
  • 海外電話番号入力対応  

Grabのように「国境を越えて同じように使える」デジタル基盤を整えることが、日本観光の次の成長ステージです。  

最近ではVisit Japan Webなどの取り組みも始まりましたが、さらなる改善が期待されます。

3.2 ローカライズ:ターゲットごとのインサイトを理解する

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食べログは繁体字中国語に対応を開始したことで、台湾での市場認知度を徐々に高めている。

ローカライズとは、国や地域ごとの旅行者のインサイト(行動・嗜好)を理解し、サービスをカスタマイズすることです。  

例えば:  

  • 台湾旅行者は「交通のわかりやすさ」や「行程の自由度」を重視  
  • 韓国旅行者は「SNS映えスポット」や「ショッピングの利便性」を重視  
  • 東南アジア旅行者は「価格の明瞭さ」「治安・衛生」「言語対応の安心感」を重視  

こうしたインサイトをデジタルガイドやアプリに反映させることで、旅行者一人ひとりに響くサービスが提供できます。

4. まとめ

日本の観光資源やサービス品質は世界でもトップクラスです。  

しかし、旅行者が「スマホ一つで旅が完結する」時代になった今、「サービスは素晴らしいのに、デジタルは惜しい」と言われないためにも、国際化・ローカライズ・デジタル化の三位一体の強化が求められています。  

シンガポールの事例から学び、アプリのグローバル展開、多言語対応、そして旅行者インサイトに寄り添ったサービス設計を進めることで、日本観光がさらに世界中の旅行者に選ばれるブランドへ成長していくことを願っています。

もし「国際化×ローカライズ×デジタル化」のインバウンド戦略についてもっと知りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にapplemintまでお問い合わせください。

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Eric Chuang

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