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台湾の衣類回収箱と古着の行方

台湾の衣類回収箱と古着の行方

こんにちは、applemint 代表の佐藤です。
台湾には衣類を回収する箱がいくつもあるのご存知ですか?こんなのです。

台湾衣類回収箱

普段何気に古くなった衣類をこの中に入れていましたがある時ふと思いました。「この中に入れられた服ってその後どうなるんだろう?」と。

僕を含む多くの人が古着は貧しい人に寄付されるか、布になってリサイクされていると思っていると思います。だけど僕は実際全然違う気がするのです。そこで今回改めて古くなった衣類がどうなるかを語った上で、個人的に今後衣類はどうあるべきかを提唱して終わりたいと思います。

古着の行く先


台湾の衣類回収箱に入れられた服がどうなるか残念ながら具体的な資料があまりありませんでしたが所謂古着が日本でどのように処理されるのかは資料があったので説明します。恐らく台湾も一緒かと思います。古着は通常3種類の処理の仕方があります。

1. リユース市場に回って再び誰かに着てもらえる

2. リサイクルされる

3. 廃棄される

リユースはみなさんご存知の通り古着としてまた誰かに着られます。リサイクルされる衣類ですが一般消費者から廃棄される衣料の多くは汚れていてなおかつ繊維素材が不明確なものが多く、リサイクルにあまり適していません。これらの衣類を総称して『ぼろ』と呼ぶのですがぼろの中で汚れが薄いもの関してはリユース市場に回ります。『ぼろ』の中で繊維素材が明確なものは反毛やウエスとしてリサイクルされます。反毛とは原毛のことで、つまり元の糸に戻したもので、ウェスは簡単にいうと雑巾です。

ここまで読むと古い服はちゃんとリサイクルされているって安心するかもしれませんが実は古着のうち、リユースに回るのは全体の18%ほどで、反毛やウェスに回るのは全体の5%で残りの77%は廃棄されるのです。

参考:衣類の消費と廃棄・循環の実態と課題

つまりは皆さんがリサイクルされると思って回収箱に入れていた服の8割ぐらいは結局廃棄されているってことです。

リユース市場の縮小と行き場を失う古着


古着の内たった18%しかリユース市場に回らないのは中々衝撃的ですがその数は今後さらに少なくなりそうなのです。綺麗な古着は古着市場に周り問題ないですが古着の多くは汚れがついていて繊維素材が不明な『ぼろ』です。ぼろの汚れがギリギリ合格ラインの場合、これらの衣類の多くは東南アジアに輸出されます。というかされていました。(日本国内でリユースに回るのは本当にいい古着のみ)これは日本のみならず台湾もそのようです。

関連記事:舊衣回收箱衣服哪裡去?

しかし近年この輸出に陰りが見えてきました。まず、東南アジアの国々の衣類への需要がなくなってきました。次に、東南アジアの国々が衣類の製造を主要産業にし自国の経済を守るために古着に NO を突きつけてきました。日本が国内の農家を守るために TPP に反対しているのと同じような感じです。

また、反毛は自動車の内装材として使用されるフェルトという繊維素材が約半分を占めているらしいのですがこの素材の需要は年々下がっているようです。同じくウェスもボロから作られるウェスの需要は下がっていて今後増える見込みはないようです。

関連記事:繊維製品のリサイクル

こうなってくると古着ってこのままだと今後は廃棄される運命ということです。ただそもそも古くなったボロい服を東南アジアの人に売るってことがおかしかったんだと思います。なんだか差別的ですし。ここまでの話をまとめると善意のつもりで衣類回収箱に古着を入れてたけど大半は廃棄されるし今後は廃棄される量が更に増えますよってことです。

台湾のリユース市場がなぜ盛り上がらないのか


古着をリサイクル出来なくて東南アジアにも売れないのなら古着を台湾国内で回していくしかありません。しかし僕はこの方法に対してかなり悲観的です。その理由に四季の存在が関係していると思っています。

これは僕の知り合いのアパレルブランドのデザイナーが言っていたのですが、日本の古着市場が常に活発なのは日本人は夏場になると冬に来ていた服を売って新しい服を買い、冬場になると夏に来ていた服を売って新しい服を買う人が多いようです。

これに対して台湾は台北が冬場少し寒くなるぐらいで、台湾全体で考えると一年を通して非常に暖かい気候です。そのため、服を変える必要がほとんどないです。つまり大抵の人は一度服を買って着始めるとその服がボロくなるか気に入らなくなるまでずっと着ている可能性が高いということです。売るタイミングがないのです。

日本のように四季があると流行りものが好きな人であれば最短で3-4ヶ月ほどで服を売ってしまいます。3-4ヶ月の比較的綺麗な服がリユース市場に出回ることは想像に難しくありません。また、リユース市場にはコートやジャケットが非常に多いのですが通常コートやジャケットとといった衣類は裏地があって、二重になっており、これにより耐久性が格段に上がります。そのためコートやジャケットといった服はぼろくなりにくいのです。

残念ながら台湾では台北以外冬服はほとんど要りません。日本に冬場スキーに行くような旅行者は1着ダウンを持って旅行用にタンスに眠らせておけばそれで事足りるでしょう。

最後に、台湾に訪れたことがある人ならわかると思いますが台湾の人は全体的に服にあまり気を使わない人が多いと思っています。(苦笑)これらを考えると僕はとてもじゃないですが台湾で古着の市場が大きくなるイメージが湧かないのです。台湾には日本でいうトレジャーファクトリーや2nd Street、モードオフのような古着チェーンをほとんど見かけません。(あったら教えてください!)その理由は新しい服を必要としない季節と、気候があまり変わらないが故に同じ服をローテションで着る習慣だと思っています。

廃棄される新品の服とファーストファッション


ここまで服が如何にリサイクルされないかということを話してきました。服の約8割はいずれ廃棄されます。アメリカでは毎年1300万トンの衣類が廃棄され、しかもファッション業界は石油・ガスに次いで世界で2番目に環境汚染産業らしいのです。

関連記事:ファッション業界のゴミ問題への3つの解決法

古着の80%が廃棄されているのはショックだったのですが調べていくとなんと新品の衣類の約50%が廃棄されていることがわかりました。

関連記事:新品の服を焼却!売れ残り14億点の舞台裏

理由は主に3つあるようで

(1) 衣類の素材は基本大ロットからの注文しかできないこと
(2) 大ロットで注文すれば原価がやすくなること
(3) 製造工場も大きいボリュームしか基本受けたがらないこと
が原因らしいです。

これに加えてアパレルメーカーは売れ残った商品が安価に市場に出回ってブランドイメージを損なうのを防ぐために売れ残った商品を焼却します。去年バーバーリーが新品の在庫商品を大量に焼却して問題になりました。H&M も問題になりました。

関連記事:英バーバリー、42億円相当の売れ残り商品を焼却処分

また、近年ファーストファッションの台頭による価格競争の激化と流行の短縮化がこの廃棄問題に拍車をかけています。

廃棄衣料に対する考えと解決策


考え始めるとどうしようもない廃棄衣料の問題ですが現在色んな企業が解決策を出しています。日本では新品処分されるアパレル在庫の企業間マッチングサービスがあるようです。

関連サイト:アパレル在庫の企業間マッチングプラットフォーム「スマセル」

AI を使ってファッショントレンドと需要予測を的確に算出して、できる限りロスを防ぐ努力も始まっています。

或いは再利用を見越して分解しやすい衣類を作ったり、廃棄されてもきちんと自然にかえるような有機素材を用いて製造したりしている会社がいます。いずれもすごくいいなって思っています。パタゴニアみたいに羽毛のサプライヤーから製造工程まで全て透明化する会社もすごく好きです!

僕は今回色々調べてファーストファッションのやり方に非常に疑問を感じましたがそれでもユニクロのズボンとか下着とか靴下とか買っちゃう気がします。なぜならユニクロってすごく革命的で安くてそこそこ質がいいからなんですよね。つまり払うコストに対するパフォーマンスが良すぎるんです。

でも例えば耐用年数が1-2 年と言われている靴下がユニクロで2着300NT で、購入後1年持ったらコスパは1着150NT = 1年ですよね。じゃー例えば1着600NTだけど破れない or 破れたら取り換え可能なDARN TOUGH みたいな靴下を作ったらどうなるか?

廃棄衣料の現状を伝えて廃棄衣料の問題を解決するには一生捨てなくていい靴下を作るしかない!ってきちんと伝えたらその靴下にはなんか意味が生まれると思いませんか?いずれ一番廃棄されている衣料 or 耐用年数が非常に低い衣料に対して面白いことできたらなーって思っている applemint でした。

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