みなさんこんにちは!applemintの津山です。
台湾は日本アニメの超重要マーケットだということをみなさんご存知ですか?台湾には数百の日本アニメが輸出されており、台湾人は小さい頃から日本アニメを見て育っています。
そんな台湾アニメ業界で、長らく問題になっているのが「吹替版の声優不足」の問題です!
私も先日「ONE PIECE」の中国語吹替版を見たのですが、なんかちょっと日本語版とは雰囲気が違うな…と感じました。この理由は後ほど説明します!
そこで今回は、今、台湾の声優業界が抱える課題と、知られざる台湾声優の秘密についてお伝えします!
このブログを読めば、台湾アニメ市場と声優業界の基本的なことが5分でわかります。さらに、あんなキャラとこんなキャラを同じ声優が演じている!?という驚きの発見がありますよ!
台湾アニメカルチャーに興味がある皆様は必見です!
Contents
台湾アニメ市場

台湾政府の文化部が発表している統計によると、2018年の台湾ACG(アニメ、コミック、ゲーム)関連の国内マーケットの市場規模は日本円で約3,000億円でした。
一方、日本動画協会によると、日本の国内マーケットはアニメだけで市場規模が1兆2000億円を超えています。さすがに日本の方がはるかに巨大マーケットではあるものの、台湾の人口が日本の4分の1であることを考えると台湾も十分に大きなマーケットであることが伺えます。
また台湾は、日本アニメの展開本数がアメリカ、韓国に続き世界3位で、現在約200本が展開されています。台湾のケーブルテレビでは一日中日本アニメを流しているチャンネルもあります!
それくらい日本アニメを愛している台湾人ですが、国内で放送するとなれば吹替版の用意が必要です。ではそんな数多くのアニメの吹替版を担当する台湾の声優事情は、どうなっているのでしょうか?
台湾声優業界の現状
結論から言うと、今、台湾のアニメ声優さんは非常に不足しています。

日本では声優名鑑に1,000人以上が名を連ね、その中でもトップ声優がだいたい300人くらいと言われます。
台湾にも声優をまとめて紹介しているサイトがありますが、それを見ると個人HPがある声優さんが70名ほどで、トップ声優さんはさらに人数が絞られることが想像できます。
台湾で声優が少ない理由
声優が少ない理由は2つあると考えます。
- 台湾声優業界の問題
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1. 地位や収入が安定しないので成り手が少ない
2. 声優学校が少ないので新人が育たない
1つ目の待遇面の問題ですが、台湾の声優の単価は日本の声優に比べて非常に低く収入が安定しないため、声優になりたがる人が少ないという問題です。
1本のアニメを撮るとき、日本の声優は日本俳優連合の基準で最低金額が15,000円〜と決まっていますが、台湾には最低基準がなく、募集を見るとだいたい2000〜4000円くらいとなっています。
台湾全体の給与相場は、確かに日本と比べ2倍の差があると言われますが、声優の場合はそれが5倍近くまで広がっています。
また2つ目の声優学校について、台湾には2年間の声優専門学校なるものはほとんどなく、演技指導が無いナレーター専用クラスが中心で、主に90〜120時間のプログラムになっています。
台湾では基礎を学んだのちは自主学習となり、一人でコツコツと技術を磨かなくてはなりません。
台湾声優業界の特徴

そんな少ない人数でやりくりししている台湾声優業界には特徴があります。それはキャラ作りの速さです!
台湾の声優たちは、人数不足のために1人が同じアニメの中で2役以上を演じるのは当たり前で、さらに給料が低いため数をこなさなければいけないので、吹き替えをするその場で台本をもらい、すぐに演技に入るそうです。
ちなみに、私が最初に台湾で吹替版 ONE PIECEを見た時に感じた違和感の理由もここにありました!なんとたった5人の声優さんで主役のほとんどのキャラクターを演じていたのです!
ちなみにルフィーとチョッパー、ナミとロビン、ゾロとブルック、ウソップとフランキーはそれぞれ同じ声優さんが演じています。
みなさんベテランの声優で年齢層のせいなのか、日本のワンピースよりも落ち着いた印象を受けます。

私は個人的にウソップとブルックはめちゃめちゃ似てると思ってましたが、やはり同じ人なんですね!
台湾実力派声優のキャラクター100変化
台湾の声優が不足しているからといって、日本の声優よりも実力が劣っているわけではありません!
厳しい台湾の声優業界でも不動の地位を勝ち取った実力派声優さんたちは、多くの有名キャラを演じ分け、台湾のアニメファンを驚かせました!ここでは、その一部を紹介します。
蔣篤慧
演じたキャラクター:野原しんのすけ、江戸川コナン、NARUTO、まる子など
台湾声優業界の第一人者といえば「蔣篤慧」です!台湾吹替版の評判が非常に高い「クレヨンしんちゃん」で、主役の野原しんのすけを演じた声優さんです。
彼女の吹き替えは、まさに日本で見る矢島晶子さんの「しんちゃん」そのもの!そのほかにコナンやナルトなど日本アニメ好きには欠かせないキャラクターの数々を担当してくださいました。
また「ちびまる子ちゃん」では、まる子、花輪くん、杉山くん、藤木くん、永沢くんなど、合計13のキャラクターを演じ分けています!もはや一人芝居に近いですね…。
残念ながら、ご病気のため2019年に49歳の若さで急逝されましたが、日本アニメ普及に貢献した立役者であることは間違いありません。
王瑞芹
演じたキャラクター:あたしンち『お母さん』、野原みさえ、犬夜叉『かごめ』など
王瑞芹は、台湾吹替版の評価が非常に高いもう一つのアニメ『あたしンち』の主役、お母さんを演じています。
台湾では毎日『あたしンち』が流れていますが、王瑞芹の『お母さん』は、あの愛らしさと破天荒さを完全に表現した見事な吹き替えです。中国語がわからない日本人でも、声を聞けばすぐに気がつくと思います!
ほかにも野原みさえや、犬夜叉の9人のキャラクターを担当するなど、日本アニメ吹替に欠かせない存在です。
林美秀
演じたキャラクター:しずかちゃん、鬼滅の刃の胡蝶カナエ、こち葛の秋元麗子など
1999年以降、20年以上もの間日本アニメを支えてくれた林美秀は、これまで日本アニメで500近いキャラクターを演じてきました。
中でも面白いのは、こち亀の「擬宝珠檸檬」と「擬宝珠夏春都」。この二人はおばあちゃんと孫の関係で、なんと年の差100歳なんです(4歳と104歳)!
こんな無茶なオーダーにも応えられるなんて、林美秀の実力の高さが伺えます!



うっかり声の切り替えを間違えたら、大変ですね!
台湾声優業界を盛り上げる3つの方法
最後に、今後の台湾声優業界を盛り上げるための方法を3つお伝えします!
日本からスクール進出
台湾の新たな声優を育成するために、スクールの存在は不可欠です。しかし現状では台湾には日本のような専門学校がなく、学ぶ場所が限られます。
そこで2014年、日本の角川が台湾にアニメ専門学校を設立しました。声優コースだと期間が半年〜1年と、台湾の他の教室よりやや長めで、きちんと日本の技術を学べるようです。
もし日本声優専門学校がもっと留学生を受け入れて育成し、台湾に姉妹校を作り、そこで先生として働いてもらえれば、日本の技術をもっと広めることができそうですね。
日本と台湾の声優を集めてイベント
台湾の日本アニメの人気の高さを利用して、台湾と日本の声優さんがコラボしたイベントなども面白いと思います!
実際に2018年の台北国際アニメフェアには、ウソップや工藤新一を演じる山口勝平さんが招かれ、大盛況となりました!
日本の声優人気の高さを利用して、例えば台湾と日本で『同じ有名キャラ』を演じる声優が一緒に登場するイベントを企画すれば、台湾声優の認知度もさらに上がるのではないでしょうか。
日本の声優が台湾に進出
最後は日本の声優が台湾に進出する方法です。中国語の発音は非常に繊細で習得するのが難しいのですが、日本でも声優業界の競争が激化している今、もし中国語をマスターすれば、活躍のチャンスが広がります。
また中国語はビジネスでも活用の幅が広いので、学んで損はないと思います!声優の卵の皆さん、いち早く中国語を勉強して、台湾で勝負してはいかがでしょうか!?


みんな、あなたを待ってるよ!
いかがでしたか?
本日は台湾の声優業界についてお伝えしました。台湾では1994年の日本アニメ解禁以降、今でも人気が高く、今後もますます声優さんのニーズが高まることが予想されます!
台湾での日本アニメ吹替版には賛否両論ありますが、少なくとも一つのアニメの中で10以上のキャラクターを演じ分ける台湾声優さんの能力は、一見の価値ありです!
皆さんも台湾旅行に来た際は、ぜひT Vで日本アニメの吹替版を見て、その実力を確かめてみて下さいね!
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