みなさんこんにちは!台湾でデジタルマーケティング会社の代表を務める、applemint の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は「台湾の労働基準法(勞基法)」をうまく活用する人たち、というテーマでお話ししたいと思います。
誤解のないように最初に言っておくと、このブログで「台湾人は悪い」とか「台湾人はずる賢い」と言いたいわけではありません。
日本でも同じように、制度を“都合よく”使う人はいます。それはアメリカだってヨーロッパだって同じです👊
結局、制度をうまく使う人に人種なんて関係ありません。
ただし、経営側の立場からすると、制度をうまく使う人たちはなんとも厄介な存在に見えるのが本音です😭
これからお話しするのは、台湾で実際に台湾の労働基準法をうまく活用した従業員の方のリアルなお話です。
知ったところで法律を変えられるわけではありませんが、これから台湾に駐在する方や、現地採用・チームマネジメントをされる方の頭の片隅に入れておいてもらえればと思います🫡
「半日だけ働いて半日休む」という絶妙な抜け道

まず最初の話は「台湾の病気休暇(病假)」に関するものです。台湾では、体調不良のときに有給とは別枠で「病気休暇」が取れます。
台湾の労働基準法では、年間30日は休んでも給与の半分が支払われます。
一見、とても労働者フレンドリーでいい制度ですし、僕もそれに異論はありません。
ところが──
これを“うまく使う”人たちがいます💦
たとえば午前中だけ出社して、昼過ぎに「すみません、ちょっと体調が悪くなったので帰ります」という人です。
これをするとどうなるかと言うと、その人は半日分は働いているので、半日休んでも1日分の給与をもらえます。
それがたまになら僕だって全然問題ないんですけど、毎月2-3日半日で体調不良になると、「おやっ」って思いますよね…😅
applemint にそういう人いました。毎月決まって2-3日「午後だけ体調が悪くなる」という社員です。
病假は年間30日と書きましたが、これは月に平均すると大体2-3日です…
そうするとどうしても疑っちゃいますよね…
ただ疑ったところで「それ、本当に病気?」とは言えませんし、もしかしたら本当に毎月2-3日午後急に体調が悪くなっていたかもしれません…
あと、台湾も日本もそうですけど、体調がそんなに悪くなくても診断書と薬出すじゃないですか?
なのでちょっと休みたくなったら診断書をゲットして申請して休みゲットです。
とは言え法律なので、僕らで何かできることはありません。
会社としてできるのは、「こういう人もいるんだー」って知っておくことだけですかね。
ただし、こうした事例を知っていれば昇進や給与アップに対して違う判断ができるかもしれません。
「自分から解雇されに行く」人

2つ目にご紹介したいのは、結構エグい話です。結論から言うと、わざと解雇されにいってかなりの解雇金をゲットしたある社員の話です。
僕の知り合いの会社さんは店舗ビジネスをしていて、従業員は基本シフト制で現場に立つ必要があります。
ある日、その会社の社員Aさんが上司にこう言ったそうです。
「火曜・水曜・木曜・金曜日は出勤できません。」
理由は特にありません👊👊
「おいおい!ちょっと待ってよ!」って感じで当然、会社側は困りますよね。
他のスタッフのシフトもあるし、Aさん一人が勝手に休んだらお店が回りません。これがアルバイトならしょうがないのですが、正社員なので明らかに契約違反なわけです。
しかし何度話してもAさんは折れません。最終的に、Aさんは自ら労働局に相談に行きました。
「自分は働きたくない日を伝えているのに、会社が聞いてくれない」と😅
いや、普通労働局に訴えたいの逆じゃない?と思いますよね。
のちに分かりますが、彼は自分に非があることを知っておきながら労働局へ行きました。
台湾では、従業員が労働局に相談するというのはよくあることで、知り合いの会社はその結果、ブラックリストに載ってしまったことがあります。
僕は幸いまだ駆け込まれた経験はありませんが、先輩の起業家いわく、
「台湾で経営していたら一度はあることだから、気にしない気にしない」とのことでした…
今回のケースでは労働局が間に入って“仲裁”しました。
とはいえ、雇用側に非はなく、従業員がわがままを言っていただけなんで話はずっと平行線を辿りました。
会社側は契約違反を訴えましたが、台湾では契約はあるようでないようなもので、結局正式な手続きを踏んだ解雇はほぼできません。
結果的に、労働局仲裁の下、従業員が解雇に同意するという形になるのですが、この時かなりの解雇金が従業員に支払われることになりました。
台湾では、従業員に退職してもらう場合、通常は「自主退職金」か「解雇金」のいずれかを支払います。
どうやら、解雇金のほうが自主退職金よりも支給額が多いようです。
知り合いの会社では、もともと退職を望んでいた元社員に対し、自主退職であれば退職金は7〜8万元が相場だったそうですが、
実際に「解雇」という形になったことで、労働局の立ち会いのもと、その倍近くの金額を支払うことになったとか、ならなかったとか…😭
しかもAさんは「解雇証明書をください」と要求しました。これがあると、失業保険(失業給付金)も申請できます。
これが一部の方による台湾労働法のリアルな活用です。
日本人経営者は「グレー」が許されない

僕も台湾で会社を 8年経営していますが、この国では“日本人 (外国人) 経営者”が何かへんなことをすれば目立ちます。
日本でも、外国人がちょっと変なことをすると、まるでその国の人全員がそうであるかのように広がる事があるじゃないですか?それと同じことです。
外国人というだけで、労働局や税務署のチェックが入ることもあります。だから、ちょっとでもグレーな対応をすると、すぐに怪しまれますし、誰も守ってくれません。台湾って結局アウェイなんですよ。
結果として、多くの日系企業は「労働法を100%守る」という極めてクリーンな運営をしています。
ただし中には今回の事例のように、法律を遵守する企業を利用して労働基準法を悪用する人は出てきます。
残念なのは、9割の社員は真面目に働いてくれる一方で本当に1割の方が全てを台無しにすることです…
では、会社ができることは何か?
僕の結論はシンプルです。採用でどうにか見極めるしかありません。
特に試用期間中に、その人が誠実かどうか、働き方の姿勢をよく観察するしかないと思います。
体調不良を理由に急な早退や半休が多くないか?責任感を持って自分の仕事をやり切ろうとしているか?
この段階で違和感を感じたら、後から修正するのはほぼ不可能です。
試用期間は会社がまだ守られる数少ないフェーズです。あ、でも厳密には試用期間でも辞めてもらう場合には、自主退職扱いでの手続きが必要です…😅
今回紹介した2つのケースは、どちらも僕自身や周りの経営者が実際に経験した話です。
僕は台湾という国が好きですし、この国の人たちの温かさや柔軟さにはいつも助けられています。
繰り返しになりますが、これは台湾人だから悪用しているわけではなく日本人でもアメリカ人でも制度をうまく利用する人はどこにでもいます。
色々な嫌な事あると思いますが、今日も一日台湾で頑張っていきましょう!👍👍
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