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【激動の台湾起業1年目を振り返って】台湾スタートアップ実録

【激動の台湾起業1年目を振り返って】台湾スタートアップ実録

こんにちは applemint代表の佐藤です。いろんな方の助けや支えがあり、applemint は無事1年生き残ることができました!そして2018年9月から2年目に突入しました。

この 1 年間本当に色んなことがありました。相変わらずプライベートと仕事の境界線がないようなライフスタイルですが周り曰く最近の僕は少し落ち着いたみたいです。(自分はあまり覚えていませんが去年は本当に仕事ばっかりだったようです)

今回は今後台湾で起業する人のために1年間何が起きたか時系列でお話をし、起業する上で私の経験が是非役に立てばと思っています。
※2019年1/29更新

其の一:会社を始める (2017年8-9月)


台湾でどうやって起業したかの詳細はコチラのページに3章に分けて書いてあるため、創業間もない2ヶ月間のトピックを「会社の代表者」「資本金」の2つに絞ってお話をしたいと思います。

会社の代表者

台湾で起業をするにあたって、会社の代表者を台湾人に据えた方が容易に物事が進むのは想像できると思います。私と私のビジネスパートナーも同じ考えで、初めは私のビジネスパートナーの台湾人を代表者にしようと思っていました。でも最終的には私が代表者になりました。

なぜか?私が始めた会社なので私が社長なのは当たり前なのですがそれよりも給与がポイントになりました。

台湾では代表者は会社で一番高い給与をもらっていないといけないようで(有限会社も株式会社も一律適用かは不明)台湾人のビジネスパートナーを代表者にした場合、外国人の私より高い給与をもらうためには彼の給与が 48,000NT(日本円で約17万円)〜となります。

なぜ48,000NTか?

実は台湾では台湾の政府が「外国人は台湾で生活をしていくために 48,000NT の給与所得が必要」と決めており、外国人の給与は最低でも 48,000NT が必要とされています。正確には台湾にくる外国人は専門性があり、48,000NTの所得が妥当みたいな理由です。

そのため、外国人に対して労働許可を発行する場合、多くの外国人の給与は48,000NT 〜となります。
※例外)現在では台湾の大学を卒業した日本人であれば38,000NT (約13.5万円)ちょっとで雇えるようです

結果として創業して間もない時期に儲けがほとんどないのに二人の合計給与がいきなり毎月 100,000NT (日本円で約35万円)近くある状況は非常にまずかったのと、登記上は僕の台湾人のパートナーが代表者、実際の最終意思決定者が私という状態も混乱を招くため最後は私が代表で落ち着きました。

資本金

台湾では外国人が起業する場合資本金が必要ですが、その資本金の出どころが鍵となります。結論から言うと、外国人が台湾で起業する場合、通常は海外からの送金が必要となります。(「外国人代表者=外資=海外から資金送金」)

 
外資として台湾で起業するためには資本金が50万NT(約175万円)が必要です。 しかし例外が一つあります。
 

台湾で就業経験があり、就業時に稼いだお金が起業のため出資する50万NTを上回れば海外送金をしなくても台湾国内で全てを済ませられます。(※2017年9月時)

私は幸いにも起業以前に台湾で就業経験があり、就業していた時の合計給与が私が出資する予定だった資本金の額を上回っていたため、台湾の確定申告の書類を見せて、「〜万元の収入を得て〜の税金を納めた」という証拠を見せたことで海外送金の必要はなくなりました。

つまり台湾で50万NT以上の所得が過去にあったと確定申告書類を用いて証明すれば外国人であっても資本金は台湾国内から調達可能ということです。※給与明細や通帳記録は証拠としてカウントしないのでご注意を!

もしもこれを読んでいる方が現在日本にいて今後台湾に来て起業したいと思った場合、まずは台湾に来て会社名義で銀行口座を開き、日本の銀行から台湾で会社名義で開いた口座への送金が必要となります。

余談

一部から資本金は会社のキャッシュとしてどんどん使っていいのか?資本金は会社が手をつけてもいいのか?という質問を尋ねられましたがこちらはキャッシュとしてどんどん使っていいと思います。(10/26,2018追記) 起業をしようとするとこういう疑問がどんどん湧いてきます。

僕は幸いにも台湾で起業したタイ人の友人に外国人の起業に詳しい会計士を紹介され本当に助かりました。

もしも現地の会計士の助けが必要な方はいつでも applemint までご連絡ください。ご紹介できます。(当然日本語は喋れませんがその分日系の会計士よりは安いかと思います…)

個人的な意見ですが台湾に来て間もない人が起業をする場合、自分でやろうとせずまずは会計士の方を探すことを強く勧めます。

其の二:ビジネスを決める (2017年9-10月)


起業前のビジネスアイデアを考える時は楽しかったです。その当時は真剣に例えば「廃棄野菜問題を解決する」「日本の過疎化した田舎を助ける」など色々考えたものです。別にこれらのアイデアが悪い訳ではありません。実際に私は一時期農業に従事していた時、捨てられる C 級の野菜を見て何かできないか考えたものです。

しかし出資を受けているわけでもなかった僕らにはどう考えてもこれらのミッションを達成するための具体的なアイデアがなく、仮にあったとして投資家から出資を募ったところで 「なぜこの問題を解決するのが applemint ではないとダメか?」という質問に答えられる気がしませんでした。

最終的にまずは目の前に見えている自分たちが解決できる問題点を解決して、いくらか時間がかかってからでも自分たちがしたいことすることをすればいいと思いました。私が台湾で就業していた時問題だと思ったのはECサイト内のものすごく低い購入率 (CVR) でした。広告を打っても打っても購入に繋がらない問題点を解決しようと思いました。

そこで私とパートナーはウェブサイトを異常なまで分析して、ボトルネックを探すことで 顧客のサイト内購入率をあげることをビジネスにしようと考えました。しかしこのビジネスはなかなかうまく行きませんでした….

其の三:ビジネスのシフトと副業 (2017年10月-11月)


自分たちの経験をもとに、台湾の ECサイトで問題なのは低い購入率(CVR)だ!と決めつけ、会う人に「ウェブサイトを改善して購入率上げます!」と言いましたが全然刺さりません。

本当にウケが悪く、このままではどうしようもないと思い、自分たちが売るものを考え直しました。

顧客が問題と感じているのは自社のウェブサイトだけでなく広告運用や広告を含めた”デジタル・マーケティング”であり、弊社もそれらの問題点に対して包括的な解決策を提供しようと思いました。

そこでまずはサービスをわかりやすく3つに分けました。
1. ウェブサイト制作、2. 広告運用、3. SEO という具合です。

そしてグロースハックとかよくわからない言葉を使っていましたがシンプルに「ウェブマーケティング」「デジタルマーケティング」「デジタル広告運用」「検索ランキング改善」をしていると人に言い始めました。これにより、少しずつウェブサイトの制作や SEO、広告運用といった案件が個別に入るようになりました。

しかし、できたばかりの企業にすぐにお金を落としてくれるような顧客は多くありません….そこで生き延びるために私が以前からやっていた報酬単価が高い「日→英」、「英→日」の翻訳もしました。最終的に翻訳で単月 10万NT(日本円で約35万円)ぐらいの収入が入りましたが1日6時間(フル翻訳) x 3週間というスケジュールで余った時間で本業をしていたためめちゃくちゃ疲れました…もうしたくありません(泣)…

この時のストレスとかもう私の中で忘れてしまいましたが周り曰く色々きつそうにしていたみたいです…

其の四:顧客を探す (2017年11月-12月)、無理やりビジネスにする


 

MBA のクラスや図書館ではターゲティングなんてどうにでも定義できました。しかし現実はみなさん財布の紐がかたくてシビアです。仮にめちゃくちゃ市場分析をしてこれしかないというターゲットの選定をしても行動が伴わなければ無意味です。

僕らのターゲティングは非常に簡単なものでした。私たちは今も当時も台湾では明らかに日系の広告代理店の質に問題があると思っており、それらの広告代理店の顧客は日系だったため、広義のターゲットは日系の企業としました。(もちろん全ての日系代理店の質が悪いとは思っていません)

狭義のターゲットは中小のローカライズした現地に決定権がある日系企業でした。理由は3点あります。

1 大企業は経験上レギュレーションが多く、弊社のリソースでは恐らく対応が難しいこと

2 大企業はそもそも予算が大きすぎてリアルに黒字倒産とかあり得たため

3  中小の方が本社の人手不足で現地に決定権がある傾向があり、弊社のような創業したてで信頼のない小さい会社でも仕事を委託してくれる可能性が高かったこと

以上を踏まえて、「日系」「中小」、「ローカライズ」、「B to C」というターゲットを意識していました。ターゲットを日系にしたもう一つの理由はローカルの台湾の広告代理店との競争を避けるためなのと、日本人としての私の特性が活かせるためです。

次に上記で定めたターゲットはどんな所にいるか考えた結果、まずは台湾の日本人の「飲み会」を考えました。そこで内向的な自分を忘れて、苦手だった外付き合いを少しずつ始めました。(今でもものすごく苦手と思っていますが…)また、飲み会の顔出しと並行してサイト内に SEO 目的でブログを強化しました。

今では「台湾デジタルマーケ」、「台湾 SEO」 、「台湾広告代理店」などで検索をすればそれなりに上位表示されます。この時期、台湾で知り合った日本人の方を通じて某クライアントより広告運用のご相談をいただきました。

そのクライアントが欲している広告は動画広告だったのですが動画広告なんて作ったことありません…動画広告を他社に外注することもできましたが創業したての小さな会社は 1NT でも自分たちの懐に入れたいのです。私はフリーランスとしてデザインの仕事をしてましたし、Adobe のソフトはそれなりに使えるためとりあえずできるかなと思い、この案件を受けて 1週間徹底的に動画制作を学び、それなりのものが作れるようになりました。

動画制作はディテールや繋ぎ、一つ一つの素材の質がまだまだ未熟で日々精進中ですがこの時無理矢理受けていたことで動画制作はその後弊社のサービスの一つとなりました。ガムシャラだったから動画広告をやろうと思い、それが収入の一つになりました。

できないことをできると言ってクライアントに迷惑をかけるのは最悪ですが、できます!と言うと自分に危機感が生まれ無理矢理やった分かなり成長する気がします。

其の五:キャッシュがやばくなる (2017年12月-2018年3月)


ビジネスをデジタルマーケティングにしてからクライアントは少し増えました。しかし運転コストとは恐ろしいもので人件費や仕入れコスト、オフィスの家賃は容赦無くすぐに請求が来ます。

所謂黒字倒産のような運転状態になり、粗利は出ていますが人件費や仕入れコスト、オフィス家賃の流動(キャッシュアウト)が早く、この時期はキャッシュが20万NT(日本円約70万円) とかになり、仕入れコストや販管費を入れたら毎月10万NT〜(日本円35万円以上)はあったので、破滅へのカウントダウンを自虐的にしてました。苦笑

現在の顧客が逃げたらあと半年で僕ら死ぬかもしれないみたいなことをパートナーと話していました。もしこの時融資や出資の話が来ていたら自社のシェアを少し分けて飛びついていたかもしれません。後ほど最後の章でお話をしますが私は自分で起業したことで投資に対するいくつかの概念を持つことができたと思っています。其の一つがタイミングです。

どんな投資/ビジネスでも安く仕入れて高く売るのは基本だと思います。もしこの時の僕らみたいに本当にキャッシュがやばい状態にあるけどここでキャッシュを入れればかなり回復する見込みがあるスタートアップがあれば投資対象先としてどうでしょうか?

私はこういう時にこそ出資をするべきではないかと思いました。投資家は銀行と違い、本当にポテンシャルのある会社には晴れの日に傘を貸さないで雨の日に傘を貸すべきと思いました。

其の六:蘇生・顧客が来る (2018年4月-6月)


 SEO でブログを書いていた影響もあり4-5月にGoogle 検索から弊社へ問い合わせが増えました。また、キャッシュがやばくなった時期に、弊社のターゲティングぴったりの顧客が現れ、其の後何回かのヒアリングを通して受注に成功し、安定した収入を得られるようになり始めました。

この時期から初めて営業利益でそれなりのプラスが出るようになり、キャッシュを貯めることできるようになり始めました。私を知る人の中には起業時に顧客がいたのだろうと思いの方もいますがほぼいませんでした。

0 ではありませんでしたが大きな受注に至るケースはほとんどなく、知り合いが本当にクライアントになるまでのハードルが高いことを実感しました。

また、同時期に起業当初からサービスを提供していた顧客に違う方を紹介していただき、本当に人に助けられました。いろんな意見はあると思いますが新規開拓よりも目の前のクライアントに全力を尽くす方が新規に繋がるのではないかと思い始めた頃です。同時期にインターンの問い合わせが来るようになったため、インターンを入れるため将来の雇用を考えて少しずつ内部のガバナンスとかに目を向けるようになりました。

其の七:applemint のこれから (2018年6月〜)


始めはどうなるかと思いましたが applemint は皆様のおかげで少し安定しました。この調子で行けば今のところ 2年目も大丈夫そうです。では現在ウェブサイト制作、広告運用や SEO をビジネスの柱としている applemint はどういう方向性で進むのか?

今に始まったことではありませんが私は「モバイル」にまだまだ伸び代があると思っています。先週中国に行きましたが中国はほぼ全てをモバイルアプリで済ませようとする国です。

台湾では台湾の人がアプリの DL が面倒なのかアプリがいまいち普及していませんが、早かれ遅かれアプリをもっと使う未来が来ると思っています。アプリでなければブラウザー(IE や Chrome、Safari など)かと思いますがモバイルのサイトは Sumo のように非常にアプリに近いインターフェースになると思っています。


(Google ケーススタディより)

モバイルを使う頻度が増える流れは止まらないと思います。世界ではネットのブラウザー利用者数が減っていてその理由はアプリを使用しているためらしく、そもそもネットブラウザーを使う機会が少なくなっているなんて聞きました。

台湾にいる限りは台湾の現地の習慣に沿ったモバイルフレンドリーなサイト制作を行うと思いますが今後グローバルなビジネスを考えた時にアプリストアの SEO、アプリの UX/UI、アプリの分析、アプリストアの広告運用ももっと大事になると思っています。

台湾みたいにアプリの DL に抵抗があるユーザーに対してはレスポンシブなサイトより、モバイルアプリのようなウェブサイト (Progressive web app みたいなサイト) が普及したら面白そうと考えています。そのため applemint ではモバイルをテーマに顧客の求める売り上げアップや新規獲得に繋がるように何らかのサービスを検討中です。其のほかにも実店舗とモバイルを組み合わせて UX の強化などビジネスの成長を促進できるサービスを考え中です。

其の八:まとめ/起業1年目を終えた僕が思うこと


まだ起業して1年で威張ったことは言えないものの 1年終えて見えたことがかなりあるため、シェアをしたいと思います。

おそらく起業したことがある人であれば結構納得する内容かと思います。これから起業する人は1年でこんなことが学べると思ってもらえれば幸いです。

大事なのは柔軟性では?:今でも思うのは起業当初のアイデアに固執しないでよかったことです。つまりグロースハックというサービスにこだわらなくてよかったということです。起業でうまくいく人というのは臨機応変にいろんな場面で提供するサービスを変えられる人ではないでしょうか?

投資家マインド:投資家はまず人を見るというのがわかった気がします。大事なのは柔軟性なので仮に最初にどんなにひどいアイデアがあっても柔軟性と実行力がある人であればいつでも軌道修正できると思います。(もちろん最初にいいアイデアであるに越したことはありません….)また、これは私個人の意見ですが私が投資家であれば今から始めるというスタートアップには恐らく出資は行いません。スタートアップの多くは最初自分のプロダクトやサービスに自信を持っており、条件を妥協しないため投資家の出資条件があまり良くないかもしれないと思いました。それよりも私であればポテンシャルがある会社(人)が紆余曲折あって苦境に陥っている時に手を差し伸べます。これは僕がキャッシュが非常に少なかった時に投資家から出資を受けていたら恐らく出資者に相当いい条件で出資を受け、恩を感じて相当頑張ったと思うからです。

起業はMBA とかよりもよっぽど学ぶし自信がつく:今 MBA をとって箔をつけたいとかキャリアチェンジとか、MBA 行ってビジネス学んで起業するとか考えている人がいたら考え直していいと思います(笑)私は MBA に行って尚且つ起業をした人間だからわかります。MBA と起業はほぼ関係ないです。(MBA 時代に起業パートナーが見つかった、トップ校でものすごく質の高い起業のクラスがある、学内にインキュベーターがある場合は別です)MBA で学んだ2年間より起業の一年の方がよっぽど成長した気がします。MBA 時代のネットワークは所詮お友達関係で本当にクライアントやパートナーになる時、お友達の財布は紐は思ったよりも堅いと思いました…..
私にはアメリカや欧州のトップMBA 校卒の知り合いもいますが彼らが MBA で知り合うネットワークは世界規模でスタートアップ時に相当いいアイデアがあって初めからグローバルに売れる目算があれば MBA はいい投資になりえると思います。

いずれにせよ私の結論は成長したい/もっと学びたいという人へは起業をおすすめし、自分が所属する会社や自分が起業した会社の商品をグローバルに売りたいという人へはトップ校への進学も悪くないと思います。
ちなみに私の会社に MBA の学生が来てもただ MBA を持っているという理由で雇うことはないでしょう….(苦笑)

 いかがでしたでしょうか?私は創業して間もない企業はものすごく努力することを経験上知っています。

私は今後も会社が生き残ることができれば是非起業したばかりの会社の人と組みたいですしそういう人/企業がもっと台湾に現れたらいいなと思っています。もし起業したばかりの人がいれば一緒に助け合いたいので是非ご連絡ください!このブログが台湾で起業を考えている人の参考になれば幸いです。

※当該内容の正確性や完璧性について一切の保証をいたしませんのであくまで参考にご覧ください。

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