【2024年版】台湾スタートアップ (起業)の現実

【2024年版】台湾スタートアップ (起業)の現実

こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!

今日は、台湾でスタートアップを始めた場合に何が起こるかについて話をしたいと思います。この話題に触れたきっかけは、台北市がスタートアップ進出を支援し、そのために福岡市と連携を強化するというニュースでした。

スタートアップ進出支援へ台北市が福岡市と連携強化 福岡からの台湾進出も促す

要約すると、台湾は外資を引き寄せて経済を発展させたいと考えており、日本のスタートアップ都市である福岡市との連携を通じて福岡の企業を誘致しようとしています。

僕は2017年に台湾で起業した経験を持っており、このような日台の連携が交流を活発にする一方で、起業の現実についても理解しています。今回は、その体験を共有したいと思います。

ちなみに僕が書くapplemintlabでは、台湾でのビジネスについて詳しく記載しており、これを読めば台湾ビジネスの大部分を理解できると考えています!台湾でスタートダッシュに成功したい方はぜひご覧ください!

台湾の外資スタートアップに対する支援のリアル

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福岡市と台北市が連携してスタートアップの誘致をするような話は、今に始まったことではありません。台湾には Startup Island という政府の機関があって、そこでは台湾で起業を希望する外国人に対して、ゴールドカード(就業金卡:労働ビザ)のサポートや、アクセラレーターのようなサポートを提供しています。

そのほか、台湾では起業した外国人やローカル企業に対して、Startup Island やその他の機関がオフィスを提供しているようで、外国人でも起業をする環境は整っていると思います。
あと、台北市やその他の市には、スタートアップに対する支援金もあり、起業した都市の市政府に行って申請をすれば、支援金をもらえるようです(外国人は適用外かもしれませんが…😅)

僕らも起業1年目に台北の市政府へ行き、スタートアップのメンターみたいな人と話す機会がありました。ぶっちゃけ何も参考になりませんでしたが…(苦笑)

ちなみに僕ら applemint は結論から言うとこうしたサービスには何もお世話になっていません。後ほどお話をしますが、台湾政府が支援するスタートアップの業種は限られていますし、支援金に申請する時間があれば営業したいと思ったからです。

例えば支援金の申請ですが、全て中国語で提出する必要があります。今でこそ ChatGPT があるので、昔に比べて楽だと思いますが、僕が起業した2017年当時はそんなものはなく、中国語で事業計画を書く事を諦めてしまいました…😅

台湾における外国人への融資は?

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また、外国人が台湾で起業する場合は、外資扱いとなり、会社を登記する際に、”投審會”という、外資を審査する機関の審査が入ります。会社が外資というだけで、融資は難しくなり、クレジットカードの発行も難しくなります。

聞いた話によると、クレジットカードや融資に関しては、一部の外国人はお金を受け取った後に国に帰ってお金を返さないらしく、そういった背景から基本的に起業1年目は、台湾で融資を受ける事は期待できないと考えた方がいいです。

だからと言って完全に融資を受けられないかと言うと、そんな事はありません。僕の知り合いの日系飲食店は融資を受けてますし、他にも知り合いが融資を受けないか銀行から相談を受けたことがあります。

ちなみに、日本の銀行の台北支店は、台湾の法律により銀行業務が出来ないので、日本でお付き合いがあっても、融資は期待できない事を予め理解しておくといいでしょう。

つまり何が言いたいかと言うと、一応表面上は外国人スタートアップのためのリソースはあるけど、そこにアクセスするには言語の壁もあって、ハードルが思ったよりも高いって話です。

PRの文化はない -メディアは買うもの

次にお話ししたいのが “PR” についてです。日本だといい商品やいいサービス、ユニークなビジネスをしていたら、テレビや雑誌に取り上げられて、そこからバズるみたいな事はたまに起こると思います。

台湾でそれを期待しても全く意味はありません。日本は民放の放送局が異常な影響力を持った特殊な国で、台湾ではテレビに出たところで影響はあまりないと思っています。

実際僕は全国ネットのテレビに今まで何回も出演していますが、そのおかげで仕事が増えたなんて事はありません。なんなら僕は先日全国ネットのテレビ局にて特集されましたが、別に仕事は増えませんでした(YouTube の視聴回数もしょぼい😂)

台湾では、メディアは買うもので、これは他の国でも一緒だと思います。なので、台湾でお客さんを獲得したければ、自分で頑張って営業するしかありません。中国語ができなければ、日系企業に営業をかけまくるしかありません。

また、仮に PR を期待した場合、中国語が出来なければメディア取材に対応出来ません。日本のテレビ番組で、日本語が出来ない外国人スタートアップを見る事はあまりないと思いますが、同じです。

本気で台湾で成功したければ、中国語はマストだと僕は考えています。

台湾市場にあまり期待しない

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次に、台湾にあまり期待しない方がいいという話をします。台湾はなんだかんだ言って人口2300万人です。東京と神奈川を足したような人口です。そんな市場で成功をしても売り上げは多くの人が期待するほどにはならないでしょう。

また、人口が日本に比べて少ないため、選択肢が多くありません。例えば、飲食業界だけを特集したような雑誌は、台湾では読者が少なすぎるのでビジネスにならないでしょう。
日本は高齢化社会で人口が減少しているとはいえ、1億人の市場なので、そのうちの1%に刺さるニッチな商品でも勝負が出来ます。

しかし台湾では、1%のニッチを狙っても、市場規模は23万人しかいません。
そのため、台湾は日本のようにクリエイティブでニッチなサービスが出にくい環境ではあるかと思います。

全く相手にされなかったStartup Island Taiwan

最後に、僕と Startup Island Taiwan のお話を少し共有します。少し Startup Island Taiwan を批判するような内容になってしまうのですが、実際に起きたので共有します。

結論から言うと、Startup Island Taiwan も結局役所なので、あんまり期待しない方がいいよって話です。

僕は台湾政府(Startup Island Taiwan) から期待されて、色々なサポートを受けている台湾のスタートアップの社長と知り合いなのですが、ある時その社長から Startup Island Taiwan の話を聞いて、僕も何かサポートを受けられないかと思い、紹介してもらいました。

その後、彼らと2回オンラインミーティングを行いましたが、軽くあしらわれました😂

理由は2つあると思っています。まず一つ目は単純に僕らのビジネスに興味がなかった事です。次に、僕らが外資だったことも理由の一つだと思います。
Startup Island Taiwa は表面上、外国人の起業のサポートをするとは言っているものの、台湾の税金を外国人に使うよりは台湾人に使いたいと思うのは自然な事です。

とはいえ、知り合いからの紹介で軽くあしらわれたので、改めて政府や第三者には何も期待してはいけないと痛感しました。

以上、少し長くなりましたが、僕のブログをまとめると以下のような内容になります:

  1. 起業はそんなに難しくないと思うが、起業後のケアまで期待は出来ない
  2. 外国人の場合、融資はあまり期待できない
  3. 台湾に PR 文化はほぼない
  4. 台湾市場に期待してもしょうがない

ただ、台湾は過ごしやすくて僕はとても好きな場所なので、起業したい方がいれば応援してます!

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Leo Sato 佐藤峻

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