こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!
今日はあらためて、台湾におけるインフルエンサーやKOLの現状についてお話ししたいと思います!
このテーマを取り上げた理由は、台湾のインフルエンサーやKOLにPR案件を依頼しても、思ったような効果が出ないケースが非常に多いからです。
その結果、同じインフルエンサーを継続して起用する企業は、実はかなり少ないのが現状です。
もちろん、私のクライアントの中にも、KOLやインフルエンサーを起用してしっかりと成果を出している企業はあります。
そのため、インフルエンサーマーケティング全体を否定したいわけではありません。ただ、体感としてはおよそ8割のケースでうまくいっておらず、台湾のインフルエンサーマーケティングが、ある意味「ギャンブル化」していると感じています。
そこで今回のブログでは、なぜ台湾のインフルエンサー/KOLマーケティングが期待通りに進まないことが多いのか、その背景についてお話しします。
あくまで私個人の見解ではありますが、このブログを通じて台湾のインフルエンサーやKOLを批判する意図は一切ありません。
ただ、2026年現在における台湾のインフルエンサーマーケティングの実態を、少しでも正しく知っていただければと思っています。
なお、台湾のインフルエンサー自身の現状については以下のブログでも書いていますので、是非ご覧ください!
日本と台湾では視聴者数の母数が全然違う事を理解する
日本では、広告案件を受けなくても生計を立てられているインフルエンサー(YouTuber)が少なくありません。その背景には、安定した視聴者基盤がしっかりと構築されていることがあります。
以下は、ある旅行系YouTuberが最近公開したYouTube動画の内容ですが、この動画の中では、YouTubeの広告収入についてかなり率直に語られています。
動画を見ていない方のためにざっくりお話をすると、YouTubeの広告収入は、一般的に1再生あたり0.3〜0.5円程度と言われています。
視聴者の年齢層が高いほど単価は上がり、場合によっては1再生あたり0.6円になることもあるそうです。
では、仮に1再生あたり0.4円とした場合で考えてみましょう:
10万回再生された動画が生む広告収入は4万円になります。10万回再生というのは、かなりの数字です。
私自身のYouTubeチャンネルにも一度バズった動画があり、その再生回数は約14万回でした。
仮に、10万回以上再生される動画を週に2本、つまり月に8本公開できたとすると、4万円×8本で月32万円の収入になります。
YouTube単体で収入を得るのは簡単ではありませんが、経験上、広告収入だけで生活していけるのは、毎回30〜40万回の再生数を安定して出せる人に限られると感じています。
そして、これは台湾ではさらにハードルが高くなります。
というのも、中華圏の視聴者基盤は、日本語圏と比べて圧倒的に小さいからです。
繁体字の需要が台湾や香港にほぼ限られているように、中国語のYouTubeコンテンツも、視聴者層がどうしても限定されてしまいます。
中国大陸の一部の人がVPNを使って中国語のYouTube動画を視聴しているケースもありますが、それはあくまで一部に過ぎません。そのため、台湾のインフルエンサーは、YouTubeの広告収入だけでは十分な収益を得られず、PR案件を積極的に受けざるを得ない状況にあります。
ちなみに、インスタグラムはリール動画の視聴回数で稼げるわけでありません。TikTok は再生数に応じて報酬が発生する機能が実装され始めているので、中国向けに配信をすると収益は UP するかもしれません…(それをやりたいかどうかはまた別問題ですが…)
その結果、台湾ではインフルエンサーによるPR案件があふれ、ユーザー側もPR投稿に慣れてしまいました。そのため、もはやPR投稿を見ても特に何も感じなくなる、というケースが多発しているのが現状です。
台湾のインフルエンサーやKOL の PR 案件に対するステマ規制

台湾のインフルエンサーやKOLの投稿効果をさらに下げる一因として、台湾のインフルエンサーやKOLに関するステルスマーケティングの規制があります。
台湾には、日本の消費者庁に相当する公平交易委員会が存在し、ここでインフルエンサーの活動に関するガイドラインが発表されています。また、オンライン広告に関するガイドラインも定められています。
ここではガイドラインの詳細までは触れませんが、基本的には「虚偽の表示は禁止されていること」や、「PR案件である場合は、その旨を明記しなければならない」といった内容が定められています。
当たり前やん….って感じですね😅
これらのガイドラインが実際にどの程度機能しているのかを確認するため、昨年、私たちはある実験を行いました。
その実験では、台湾で非常に有名なYouTuberの動画を、公平交易委員会に通報しました。
彼はPR案件であるにもかかわらず、その事実を開示せずに特定の商品を紹介しており、さらに説明欄に設置されていたリンクには追跡用のパラメータが含まれていました。そのため、企業からのPR案件であると判断し、通報に至りました。
その結果以下の返事が届きました (2023年のお話):

要約すると、「彼が有名なYouTuberであることは広く認知されており、たとえPR動画であったとしても、消費者はその動画がPR案件であると判断できるため、違法には当たらない」という判断でした。
この結果から見えてくるのは、台湾では企業がインフルエンサーに対して報酬を支払っていたとしても、「PR」と明記する必要性が、実質的にはほとんど求められていないという現状です。
なお、メールは2023年のものですが、2026年1月現在もルールは変わっていません…😅
視聴者を無視して企業のプロモーションとそれが横行する台湾

台湾のインフルエンサーやKOLが、企業のPR案件に依存してマネタイズする構造と、ステルスマーケティング規制が比較的緩い環境が重なった結果、何が起きたのでしょうか?
台湾の消費者は、次第にPR案件に対する理解 (リテラシー) を深めていきました。
2016年から2017年頃は、台湾のインフルエンサーマーケティングの黄金期とされており、当時はインフルエンサーが商品について投稿をすると、本当にびっくりするぐらい商品が売れていました。
しかし、投稿が広告 (PR) であると認識されるようになるにつれ、台湾のユーザーは徐々にインフルエンサーの投稿を信用しなくなり、インフルエンサーの影響力は次第に低下していきました。
一方で、物価の高騰や過去の成功体験、フォロワーの増加を背景に、インフルエンサーの単価は上昇しました。
その結果、2026年現在、投稿を行っても、その費用を一度で回収できる企業はほとんどなくなってしまいました。
例えば、インフルエンサーに投稿をお願いする費用が5万元(約25万円)だった場合、その投稿から25万円以上の売り上げを上げられるような企業は、ほぼ存在しない状態が出来たということです。
それでも台湾でインフルエンサーによるPR投稿がなくならないのは、以下の理由です:
1. 結局ショート動画を制作するとなるとインフルエンサー同等の費用は必要なケースがある
2. 大手企業は結局それでも予算があるし、使わないと消える
3. 広告媒体が限られている
もちろん、一部の企業は成果を出し、継続的にインフルエンサーを起用していますが、多くの企業は一度試して「もう十分だ」と感じる傾向にあります。
さらに、多くのインフルエンサーは、PR動画を制作する際にプロの脚本家やディレクターを起用しているわけではなく、企業側の指示に沿って動画を制作するケースがほとんどです。
動画制作に不慣れな企業のマーケティング担当者が企画を行うと、内容は面白みに欠け、商品の機能紹介に終始してしまうことが多くなります。
インフルエンサー自身はオーバーリアクションを交えながら一生懸命対応し、企業を満足させようと努力しますが、残念ながら視聴者にとって魅力のない動画が量産されています。
では台湾のインフルエンサーはおすすめできないのかというと、僕はやり方次第だと思っています。
個人的にはリール動画はあまりおすすめしていません。成功する確率が非常に低く、ギャンブル性が高いと感じているからです。
やるなら必ず二次利用の権利や動画を買い取ることを前提に行うべきです。
また、あえてインフルエンサーを起用するのであれば、普段からフォロワーと積極的にコミュニケーションを取っているインフルエンサーやYouTuber がいいと思っています。
YouTube の動画は少なくとも資産として残ります。
また、YouTube では自分達の PR をお願いするのも良いですが、例えば日立が世界不思議発見のスポンサーになっていたように、動画コンテンツの内容を重視し、動画の節々に PR を挟むやり方の方がいいかもしれません。
以上、applemint代表・佐藤より、2026年1月現在の台湾におけるインフルエンサーの現状についての報告でした!
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