【2024年版】台湾インフルエンサー/KOL マーケの現状

【2024年版】台湾インフルエンサー/KOL マーケの現状

こんにちは!台湾でデジタルマーケティングの会社 applemint の代表を務める佐藤(@slamdunk772) です!

今日は改めて、台湾のインフルエンサーやKOLの現状についてお話ししたいと思います。

この話題を取り上げたのは、台湾のインフルエンサーやKOLにPR案件を依頼してもなかなか効果が出ないケースが多いからです。その結果、インフルエンサーを繰り返し起用する企業は非常に少ないのが現状です。

もちろん、私のクライアントの中にはKOLやインフルエンサーを起用して効果が出た企業もありますので、私がインフルエンサーマーケティング全体を批判しているわけではありません。しかし、大体8割のケースでうまくいっておらず、台湾のインフルエンサーマーケティングがギャンブル化している現状があります。

成功には再現性がなく、失敗には共通点が見られるため、その背後には明確な理由がありますが、その事実を知らない人も多いです。

そこで、今回のブログでは、なぜ台湾のインフルエンサー/KOLマーケティングが期待通りに進まないことが多いのかについてお話しします。これはあくまで私の個人的な見解であり、このブログを通じて台湾のインフルエンサーやKOLを批判する意図はまったくありません。

ただ、このブログを通して2024年現在の台湾のインフルエンサーマーケティングの実態を知っていただければと思います。

日本と台湾では視聴者数の母数が全然違う事を理解する

日本では、広告案件を受けなくても生計を立てられるインフルエンサー(ユーチューバー)が少なくありません。その理由は、視聴者の基盤がしっかりしているからです。

以下は、旅行系ユーチューバーが最近公開したYouTube動画の内容ですが、この動画ではYouTubeの広告収入について赤裸々に語られています。

見ていない方のために説明すると、YouTubeの広告収入は、一般的に1再生あたり0.3-0.5円とされています。視聴者の年齢層が高いほど収入は増え、場合によっては1再生あたり0.6円になることもあるそうです。

では、例として1再生0.4円の収益を考えてみましょう。10万回再生された動画が生む広告収入は4万円になります。10万回再生はかなりの数です。

私のYouTubeチャンネルにはバズった動画が1つあり、その視聴回数は約14万回です。次に、10万回以上再生されるような動画を週に2本(月に8本)公開した場合、収入は4万円×8本で32万円になります。

YouTube単体での収入を得るのはなかなか大変ですが、経験からもわかる通り、広告収入だけで生活していけるのは、毎回30-40万回の視聴回数を確実に出せる人に限られます。

これが台湾ではさらに難しいです。というのも、中国語の視聴者の基盤が日本語に比べて圧倒的に少ないためです。繁体字の需要が台湾と香港に限られるように、中国語のYouTubeコンテンツの視聴者も限定されています。

もちろん、中国大陸の一部の人々はVPNを使って中国語のYouTube動画を視聴していますが、それは一部に過ぎません。そのため、台湾のインフルエンサーはYouTubeからの広告収入だけでは足りず、PR案件を積極的に受ける必要があります。

ちなみに、インスタグラムはリール動画の視聴回数で稼げるわけでありません。TikTok は再生数に応じて報酬が発生する機能が実装され始めているので、中国向けに配信をすると収益は UP するかもしれません…(それをやりたいかどうかはまた別問題ですが…)

その結果、台湾ではインフルエンサーによる PR案件が溢れ、ユーザーはPR慣れしたため、もはやPR投稿に対してあまり何も思わなくなるケースが多発したということです。

台湾のインフルエンサーやKOL の PR 案件に対するステマ規制

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台湾のインフルエンサーやKOLの投稿効果をさらに下げる一因として、台湾のインフルエンサーやKOLに関するステルスマーケティングの規制があります。

台湾には、日本の消費者庁に相当する公平交易委員会が存在し、ここでインフルエンサーの活動に関するガイドラインが発表されています。また、オンライン広告に関するガイドラインも定められています。

ここでガイドラインの詳細は述べませんが、基本的には「虚偽の表示は禁止されています」や「PR案件であればそれを明記すること」といった内容が含まれています。これらのガイドラインの有効性を調査するために、昨年私たちはある実験を行いました。

この実験で、台湾の非常に有名なYouTuberの動画を公平交易委員会に報告しました。彼はPR案件であることを開示せずにある商品の宣伝を行い、説明欄のリンクには追跡用のパラメータが設定されていたため、企業からのPR案件であると判断して通報しました。その結果は以下の通りです:

公平委員会 copy in 【2024年版】台湾インフルエンサー/KOL マーケの現状

要約すると、「彼が有名なYouTuberであることは広く認知されており、たとえPR動画であっても、消費者はその動画がPR案件であると判断できるため、違法ではありません」とのことでした。

このことから、台湾では企業がインフルエンサーに支払いを行っても、「PR」と明記する必要がほぼないという状況が浮かび上がります。

視聴者を無視して企業のプロモーションとそれが横行する台湾

influencer1312 in 【2024年版】台湾インフルエンサー/KOL マーケの現状

台湾のインフルエンサーやKOLが、企業のPR案件に依存してマネタイズする状況と、ステルスマーケティング規制が緩い環境が重なり、何が起こったのでしょうか?

台湾の消費者は、PR案件に対する理解が深まりました。2016年から2017年は台湾のインフルエンサーマーケティングの黄金期とされ、その時期はインフルエンサーが商品のPRを行うと、その商品がよく売れたものです。

しかし、PR投稿が広告であると認識するようになった台湾のユーザーは、徐々にインフルエンサーの投稿を信用しなくなり、インフルエンサーの影響力は次第に低下しました。

逆に、物価の高騰や過去の成功からインフルエンサーの単価は上昇し、投稿してもその費用を一度で回収できる企業はほとんどなくなりました。例えば、インフルエンサーの費用が5万元(約25万円)かかった場合、その投稿で25万円以上の売り上げを上げることができる企業はほとんどありません。

それでも台湾でインフルエンサーによるPR投稿がなくならないのは、まだ失敗を経験していない企業が依頼しているからです😅

もちろん、一部の企業は成果を出しており、継続的にインフルエンサーを起用していますが、多くの企業は一度試して「もういいや」と思う傾向にあります。

さらに、多くのインフルエンサーはPR動画を制作する際、プロの脚本家やディレクターに依頼しているわけではなく、企業の指示に従って動画を作成することが多いです。

動画の素人である企業のマーケティングスタッフが動画を企画しても、面白くない動画が多く、ほとんどが商品の機能紹介にとどまります。インフルエンサーは一生懸命オーバーリアクションを取り、企業を満足させようと努力していますが、その結果として面白くない動画が多いのです。

最後に、台湾のインフルエンサーはお薦めできないのか?というと、私は個人的にはお薦めしていません。成功する確率が非常に低く、ギャンブル性が高いためです。

ただし、お薦めするとしたら、普段からユーザーとコミュニケーションを取っているインフルエンサーを選ぶと良いでしょう。フォロワーの属性も重要ですが、インフルエンサーがフォロワーとどれだけコミュニケーションを取っているかが最も大切です。

例えば、ユーザーからの返信にこまめに反応しているインフルエンサーや、ユーザーとのエンゲージメント率が高いインフルエンサーは、PR案件を依頼しても比較的に失敗しにくい傾向にあります。

以上、applemint代表佐藤から、2024年現在の台湾のインフルエンサーの現状についての報告でした!

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Leo Sato 佐藤峻

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