みなさんこんにちは!台湾でデジタルマーケティング会社の代表を務める、applemint の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は2025年を振り返り、台湾でうまくいったマーケティング施策と、うまくいかなかったマーケティング施策について、実体験を共有したいと思います。
うまくいった施策は、ぜひ2026年にも試していただき、逆にうまくいかなかった施策は反面教師として参考にしてもらえればと思います。
それでは、どうぞ!
- うまくいった施策まとめ
-
サンプリング・ギフト施策
ポップアップ(オンライン↔︎オフラインの連携)
ニッチなターゲット向けLP
- うまくいかなかった施策
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リール動画(コスパが悪い)
LP の高速改善
Contents
うまく行った施策その1. ギフティング/サンプリング

まず、うまくいった施策としてご紹介したいのは、サンプリング/ギフト施策です。
あるメーカーさんの事例ですが、2025年に「とにかく自社商品を台湾人の消費者に知ってもらいたい」という目的のもと、さまざまな場所に声をかけて積極的にサンプリングを実施しました。
その結果、サンプリング数が増えるにつれて、売上も増えていくという現象が起きました。
もちろん、サンプリングだけがすべての要因ではないでしょう。
ただ、サンプリング量を増やした分に比例して売上も伸びていたため、一定のサンプリング効果はあったと考えています。
このサンプリングですが、一点注意点があります。
あくまで個人的な見解ですが、サンプリングはある程度「量」を出す必要があると僕は考えます。
それと言うのも、同じサンプリングでも、ギフト施策としてインフルエンサーに商品を合計20-30個ぐらいプレゼントし、投稿してもらった形は、正直なところ、目に見える売上アップにはつながりませんでした。
もちろん、商品によっては価格帯が高く、サンプリング自体が現実的でないケースもあると思います。
そんな時、ついついフォロワーが数万人いるインフルエンサーに商品紹介をお願いしようと考える会社が少なくありません。
僕とクライアントがサンプリングを通じて感じたのは、「インフルエンサーに何十万元も支払うのであれば、その分商品を配った方が良いのでは?」という点でした。
これは僕の持論になってしまいますが、フォロワー数の多さよりも、商品やサービスを実際に試してもらう「母数」を増やすことの方が、より重要なのではないかと感じています。
うまく行った施策その2. ポップアップ

2025年にあるクライアントのポップアップストアのお手伝いをした際、興味深い事にデジタル広告の効率がその時期改善しました。
どうやらオフライン↔︎オンラインの連携は引き続き売上のアップの鍵になりそうです。
これは今から7年前の話ですが、ある通販企業さんがファンミーティングを開催したところ、ファンミーティング前後の月のオンラインの売上が伸びるという出来事がありました。
偶然かと思い、翌年にも同様にファンミーティングを実施したところ、やはりその月のオンラインの売上が上がりました。
その頃から、「オフラインで商品や体験に触れてもらうことが、オンラインの売上につながるのではないか」と感じるようになりました。そして2025年、前述した通り、某クライアントの売上が、ポップアップストア開催期間中に伸びました。
因果関係はまだ明確ではありませんが、ポップアップを2回試した結果、どちらも開催期間中にオンラインの効率が向上しました。
これまた興味深いのは、3回目に実施した際は、あまりうまくいかなかった事です。
では、2回目と3回目の違いは何だったのか?
その差は、オンラインでポップアップの告知を行ったかどうかでした。
2回目に成果が良かった際は、「今〇〇でポップアップを開催しています!」といった内容のデジタル広告をオンラインで配信していました。
一方、3回目はそれを行っていませんでした。
この結果、最初の2回はオフラインもオンラインも売上が上がったのに対して、3回目はオフラインもオンラインも売上はイマイチでした。
どうやら、オンラインのデジタル広告を活用してオフラインに集客する施策は、オフラインの売り上げだけでなく、オンラインの売上向上にも寄与する事がわかってきました。
この事象を見て、オフラインのイベントも、もっとデジタル広告を活用して告知すれば、さらに集客できるのではないかと感じました。
例えば先日、華山で秋田を紹介するかなり大規模なイベントがありました。当日、会場には本当に多くの人が来場していましたが、個人的には、まだまだ集客できた余地があったのではないかと感じています。

僕は普段から秋田の関係者と仕事をしているため、そのイベントの存在を事前に知っていましたが、恐らく知らなかった人の方が大半だったのではないでしょうか。
ポップアップを実施する際は、K-POPアイドルや日本の有名アイドルのポップアップのような例外を除き、デジタル広告を活用して事前に認知を広げることが重要だと、個人的には考えています。
うまく行った施策その3. ニッチなターゲット+LP

ある不動産会社さんのために制作した、ニッチなターゲティングを行った LP は、非常にうまくいきました。
もともとこの会社さんは、別の広告代理店を通じて、一般の台湾人向けに日本の不動産を販売しようとしていました。
しかし、同社が所有する高額な日本の不動産と、問い合わせをしてくる台湾人消費者が求めている不動産価格との間で、たびたびミスマッチが起きていました。
要するに、デジタル広告をしても結果が出ていなかったということです。
そこで不動産広告の知識とノウハウがある僕たちに声がかかり、思い切って広告メッセージを toB 向けに切り替え、さらに toB 向けの LP を新たに制作した、という話です。
ターゲットを変更した背景として、高額な不動産を購入できる可能性は、個人よりも企業の方が高いため、企業向けに最適化したメッセージを届けるべきだと判断したからです。
また、LP をわざわざ制作したのも、HP に掲載されている内容がターゲットのニーズとマッチしていなかったためです。
もちろん、LP を制作した分、初期費用は増えましたが、結果として初月から良い成果が出ました。
初月から、〇億円規模の予算を持つ企業から問い合わせが入ったのは素直に嬉しかったです。
台湾の代表者からは、「やっぱり佐藤さんは外さないですね。すごいです」という嬉しい言葉をいただきました。
やはり、広告と、広告をクリックした先のウェブサイトは、セットで考えなければならないと、改めて実感しました。
うまくいかなかった施策その1. KOL のリール動画

今年 (2025年) は本当に、多くの KOL によるリール動画がうまくいきませんでした。
「時代はショート動画」とよく言われますが、ショート動画を広告として活用する際に大事なのは、フォロワー数ではなく、ショート動画そのもののコンテンツだと感じています。
そもそも、最近の台湾のインフルエンサーは、ある程度認知度がありフォロワー数が多い場合、リール動画を1本制作するだけでも非常に高額な費用がかかります。
その結果、日系企業さんは自然とフォロワー数が数万人規模の KOL にリール動画を依頼するケースが多くなりますが、そうしたインフルエンサーの場合、一般消費者からすると「誰?」という反応になることも少なくありません。
中途半端にフォロワーがいるインフルエンサーに数万円を支払うのであれば、商品をプレゼントする形で動画を制作してくれる人に依頼した方が、よほど効果的だと感じました。
リール動画(ショート動画)そのものを否定するわけではありませんが、制作するのであれば、できるだけコストを抑える工夫が必要だと改めて思いました。
うまくいかなかった施策その2. LP の高速改善

2025年に、ある通販企業様向けに実施した LP の高速改善施策は、正直なところ、あまりうまくいきませんでした。
施策の内容としては、2週間に一度 LP のヒートマップと GA4 を確認し、そこで見えた事象に対して仮説を立て、次々とテストを行っていくというものでした。
一見すると成果が出そうな施策ですが、約4か月間続けても、CVR はほとんど改善しませんでした…
一般に、台湾で認知度が低い企業によく見られるのが、消費者の不安感からくるカート放棄率の高さです。
商品をカートに追加したものの、途中で決済をやめてしまうケースが非常に多く見られます。
この通販企業さんでも同じ現象が起き、認知度が低い中どうすればカート放棄率を下げられるかについて、毎週のように議論を重ねました。
FV の変更や文言の調整、また「消費者への説明や教育が足りないのではないか」という仮説のもと、ショート動画を LP に埋め込むなど、さまざまな実験を繰り返しました。
しかし、良くなったと思ったら翌月に再び数値が悪化する、といった状況が続きました。
一方で、台湾で高い認知度を持つブランドの場合、どのような施策を行っても、カート放棄率が低いケースが多いのも事実です。
LP やウェブサイトで安心感を伝えることは重要ですが、その一方で、できることの限界も感じた施策でした。
うまくいかなかった施策その3. ショート動画

最後にご紹介したいのは、ショート動画の失敗事例です。
自慢ではありませんが、僕は2024年にショート動画を実験的に何本か制作し、その中で最も再生回数が伸びた動画では、40万回再生を記録したことがあります。
その後もショート動画を何度か試し、結果的に数万回の視聴回数は、ある程度コンスタントに出せるようになりました。
そこで満を持して、顧客に対して「広告向け」ではなく、「視聴回数を狙うコンテンツ型」のショート動画を提案したところ、あるクライアントから GO サインが出ました!
ある程度の量を試したかったため、費用は特別にトライアル価格とし、月に20本分の撮影・編集を行い、さまざまなパターンのショート動画を制作しました。
その結果….自分が想定していたような視聴回数には届きませんでした….😭😭
実際の視聴回数は、数百〜数千回の動画が大半で、目標としていた「数万回」には至りませんでした。
なぜうまくいかなかったのか?
企業向けにショート動画を制作して改めて感じたのは、どうしても広告・宣伝目的の要素が強く入ってしまうという点です。
企業は制作費を支払っている以上、当然ながら宣伝要素を求めます。
その宣伝要素を保ちながら、同時に視聴回数も狙うというバランスを取ることには、本当に苦労しました。
日本では、ときどき YouTuber の方が非常に面白い PR 案件を手がけているのを目にしますが、改めて「本当にすごいな」と感じています。
PR と視聴回数を両立させるバランスは本当にプロの放送作家の仕事だなーとつくづく感じます。
現在は、一旦「視聴回数を狙う」タイプのショート動画制作は控え、基本的には広告配信を前提としたショート動画制作に注力しています。
その結果、広告配信用のショート動画については、順調に成果が出ています。
2025年総括
今回ご紹介した以外にも、小さな失敗は山ほどありました💦 むしろ、うまくいかなかった施策の方が多いくらいです。
だからこそ、うまくいった施策が出たときには、本当に救われます。
今年、ある総経理の方からありがたいことに、別の企業様をご紹介いただいた際に、「佐藤さんは本当に結果を出す人だから。」と言っていただけたことがあり、そのときは心からありがたい気持ちになりました。
2026年以降も、結果を出し続けられるよう、失敗と向き合い、これからも成果にこだわって取り組んでいきたいと思います。
以上、applemint 代表 佐藤でした!
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