【2022年版】台湾市場進出の不都合なデータ。台湾進出は現状の徹底調査から

【2022年版】台湾市場進出の不都合なデータ。台湾進出は現状の徹底調査から

こんにちは!台湾にあるウェブマーケティングの会社 applemint 代表の佐藤  (@slamdunk772) です。コロナウイルスの影響で台湾に進出する日系企業は若干落ち着いた気がしますが、海外旅行に行けないのを好機と捉えドンキホーテが2021年に台湾に進出しました。

そのほか、任天堂も香港の法人からリモートで台湾にプロモーションをしていましたが、2021年に台湾に進出しました。

台湾進出を支援する会社は、台湾に進出するメリットとして「親日」、「物理的な距離が近い」、「インフラが整っている」などとお話をしています。いずれも間違ってはいないと思いますが、だからと言って進出すれば誰でも成功できるわけではありません。

今回のブログではそんな都合のいい話はおいておいて、台湾に進出する際に留意しておきたい懸念点をできるだけリアルに伝えたいと思います。

※2022年1月22日更新

悲観的な将来の人口規模

現在約 2300万人の人口規模を誇る台湾ですが、今後は市場規模の縮小が見込まれます。特に近年は出生率の低さが問題です。2021年の台湾の出生率は世界で一番低くかった事が話題になりました。

下は私が以前作成したインフォグラフィックです。

幸いなことに、まだ日本ほどの高齢化社会ではないため、人口は2021-2025年までの間に2380万人まで増えるとは言われています。しかし後10年で超高齢化社会に突入すると言われているので要注意です。

leo

ちなみに台湾では出生率が右肩下がりの中、ペットの保有率は右肩上がりです。

日本と同じ人口ピラミッド

上は台湾の人口ピラミッドです。人口ピラミッドの形は日本と似ています。
典型的な少子高齢社会で見られる、壺型の人口ピラミッドです。*3

65歳以上は12%、そして所謂生産年齢と言われる 25-64歳の人口は 60.6%、15-24歳は 13.4%です。ちなみに GDP と人口は相関があると言われ、今後人口が減るにつれて GDP が縮小することも予想されます。

ここまでの話を要約すると以下のようになります:

台湾市場とは

1. 台湾市場とは2,300万人で千葉、埼玉、神奈川の3県の人口規模ということ
2. 台湾市場は今後縮小する

これがまずはリアルな台湾市場の現実です。

*3「台湾の人口ピラミッド」参照:https://www.indexmundi.com/taiwan/age_structure.html

まずは台湾に進出してノウハウを貯めて中国進出という危ない考え

台湾と中国の習慣の違い

次に、ここではっきり述べますが、台湾と中国は全く別の世界です。中国では宅配やタクシーのサービスなどアプリを頻繁に使用し、どんどんキャッシュレスな社会になっています。

一方で台湾の人は一般的にアプリをダウンロードすることを嫌い、未だに現金がかなり重視されます。ただしLinepay や 街口Pay というアプリが普及し始めてはいます。従って、台湾で成功しても、そのノウハウを直接中国で活かせることはあまり期待できません。

特に EC の業態がかなり違います。これから説明します。

中国の ECモール

中国では LP (自社サイト)を使って売ることは、ほぼ不可能と言われています。
所謂ダイレクトマーケティングと言われるような手法が、通じないと言われています。

例えば apple は、他社 EC サイトを経由して売ることを非常に嫌うと言われていますが、あの apple でさえ、中国では自社サイトからの販売は無理だと妥協して tmall (天貓) に出店したほどです。

なぜでしょうか?

中国人はパッと出たサイトは詐欺サイトと思うためです。要するに中国の消費者は、モールなど信頼できるサイトでないと購入をしないのです。

そのため、台湾でダイレクトマーケティングのノウハウを培っても、中国大陸ではゼロからのスタートになります。なぜならいくら売れる LP を作っても、 中国では LP 自体が信用されないためです…

中国政府の存在

中国で物を売るとき、パッケージやウェブサイトで使用するフォントは中国政府の国家規格に基づいたフォントを使わなければいけません。

さらに中国では外国の企業が媒体 (メディア) になることはできないと聞きました。情報を規制するためです。つまり、オウンドメディアを構築して、サイト内の枠を広告として売るようなビジネスは難しそうです。

また、先ほどの EC モールの例だと、EC モールで購入した消費者のデータは、 EC モールを運営している企業を通して政府に筒抜けと言われています。このように台湾と中国語は、共通言語や食習慣が似ているだけで、私は台湾のノウハウを生かして中国に進出しましょうと言っている人の意味がわかりません….

中国を狙っているのなら、初めから中国に進出するのが早いと思います。台湾は海外進出のハードルが低いので、台湾で『海外に慣れて』中国進出という考えは理解できますが、未だに一部の広告代理店は「台湾で培ったノウハウを中国で生かしましょう」と言っているようです。

私はこの考えにあまり賛同できません。まずは、中国と台湾は全く別の国であることを理解する必要があります。

将来が不安な台湾の財政、物価高騰、低い給与

不安な台湾の財務状況

以前、以下のブログに書きましたが、台湾政府の歳入を見ると、増えているのは国債発行による収入のみで、歳出はどんどん増えています。つまり日本のように借金が増えているということです。

中国の影響もあり、国防費は毎年ほぼ固定で歳出の15%を占め、高齢化社会による影響から社会福祉への支出が増えています。収入は増えないのに支出は増える国っていいわけないですよね?

また、独立派と言われる民進党に変わってから、アメリカから武器を購入するニュースが度々流れており、国防費が減る雰囲気はありません。2018年に書いたブログでこのままでは税収のバランスが悪いため、営業税アップか消費税導入がされるのではないかと予想しましたが、案の定、法人税があがりました。

また、台湾では一部の人が国民健康保険制度も崩壊が近いと警鐘を鳴らしています。

台湾の物価と給与

次に台湾の物価についてちょっとお話をします。以下は2022年最新の台湾の消費者物価指数の推移です。

つい最近、スイス銀行によるニュースで、台湾の物価がアジア3位と報道されました。台湾は一部食事や交通費以外は、どんどん日本と変わらないような価格になっています。

インフレで上がった物価は企業の利益に還元され、ゆくゆくは給与に影響し、それが景気改善に繋がると一般的には言われています。台湾の給与は確かに上がっていて、2022年の時給は前年比5%UPの168元になり、正社員の最低月給も24,000元から 25,250元に上がりました。

しかしながら日本や他の先進国同様、一部の人たちの給与ばかりが上がっている印象は否めません。ニュースによると台湾の平均給与は所謂中央値 (全体の40%) が3万から4.5万NT ですが、台湾で半導体の業種に従事する人たちの平均月収は7.6万元です。

記録的な円安

ここで少し記録的な円安についてお話をさせてください。2022年1月現在、日本円は台湾ドルに対して大幅な円安となっています。そのため、台湾人の時給が日本の地方の時給とあまり変わらないという異常事態が起きてます。

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歴史的な円安のため、日本に行きたくてたまらない台湾人が増えてます(笑)

コロナウイルスと円安がきっかけで日本に勤めていた台湾人の多くが台湾に戻り始めています。台湾市場と関係ありませんが、円安が続けば今後日本に行って一稼ぎしようと考える台湾人労働者はますます減ると思われます。

購買力と給与

最後に購買力ですが最近の新聞によると、台湾は韓国よりも購買力が高いそうです。

これはかなりポジティブなニュースですね。しかし前章でもお話ししたように、台湾人の平均給与は一部の人が引き上げている可能性が高いので、購買力も恐らく一部の人が高くてそれ以外はそうでもないのが現実かと思います。

また、私が政府のデータから出費傾向を調べたところ、台湾人は所得の20%前後を固定で貯蓄する傾向にあり、この傾向は過去10年間あまり変わっていません。つまり今後可処分所得が増えても、増えた分をさらに貯蓄するのではないかと思っています。

このデータから分かる台湾のメンタリティはこちらです:
経済やばい→将来不安→子どもはいらない (代わりにペット) →とりあえず貯蓄

まるで日本と一緒です。ちなみに台湾人の消費傾向については、こちらのブログに以前書いたのでよかったらご参考ください。

親日という囁き

まず「親日」とかを鵜呑みにしない

世間では台湾=親日=だから日本のものが売れると言っているようですが、私の持論として台湾人は別に特別親日ではないと思っています。

アメリカの映画やドミノピザが好きな日本人は親米なのでしょうか?それらがただ好きなだけです。私は台湾人も同じことが言えると思っています。

日本食が口に合うから日本食を食べ、円安と LCC の台頭で日本旅行はコスパがいいから旅行に行く、というだけで別に親日だとは思いません。それを鵜呑みして日本の物ならなんでも売れると思って、台湾に進出すると痛い目にあいます。

実際私は台湾に進出してろくなマーケティングもせずに、すぐに撤退した企業を知っていますし、未だに商品が売れない企業も知っています。

また、過去に「日本 No.1」や「made in Japan」といった、日本品質を強調したテキストを広告で使いましたが、使わなかった場合と比べて、広告の効率は統計的な有意差を確認できませんでした。

これだけ聞くと台湾に進出してはいけないと思うかもしれませんが、私はそういうことを言っている訳ではありません。進出前にきちんと調査をして、戦略的に進出するべきということをお伝えしたいのです。

結論&お願い

2300万人という日本に比べて小さな市場ですが、やり方によって勝算はいくらでもあると思います。ただし勝機は入念な事前リサーチからしか見えてこないと思っています。

そこで最後に台湾に住む日本人として進出を検討されている方へ2点お願いがあります。

その1. 的確なプライシングとプライスにあったプロモーション

サイモン・クチャートいう有名なプライシングコンサルタント会社がありますが、果たして進出する企業の中で、何社がきちんとこういった会社にプライシングを相談しているでしょうか?

あるいは何社が市場データや消費傾向、可処分所得を考えてプライシングを設定しているでしょうか?利益率を下げまいと、ただただ日本で販売している価格と同じ、或いはそれよりも高い価格を設定していないでしょうか?

関税や物流コストを考えて、利益を出すために日本より高く売るのはいいと思います。しかし日本よりも給与が約40%少ない台湾人に対して、日本と同じ価格で、日本でしていた時と同じようなプロモーションで、どうやって売ろうというのでしょうか?

私は台湾で利益を最大化するには以下の方法しかないと思っています。

1. 台湾で製造して流通や物流コストを下げる
2. プレミアム価格を正当化する高級路線

やよい軒は恐らく後者の道を選びました。台北でやよい軒をみたときこれがやよい軒か?と思ったほどの高級感でした。日本のやよい軒を見慣れていた私は違和感を感じるほどでした…(写真下) しかも値段は日本よりも高めです。

プレミアム価格を正当化しようとする試みは非常にいいと思います。

クライアントの中には、「多くのお客様に使ってほしいから高級路線はいやだ」、と言っておきながら日本と同価格で進出する企業がいて、心の中ではこの価格だと所得が高い人しか買えないだろうなーと思っていました。

また、通販のお客様だと、日本で売れている LP をそのまま使用している会社もよく見られます。しかし日本の LP は日本のターゲット向けに作られたものであって、台湾だとターゲットが違うため CVR が上がらないケースが多々あります。

日系の台湾へ進出する企業は利益を出すためには、高級路線か、大量出店、現地生産、フランチャイズ、のどれかになってくるのではないでしょうか?

その2. 台湾進出前の徹底リサーチと戦略強化のお願い

台湾に進出する会社の担当者の中には、台湾の人口や台湾の共通言語を知らない人がいます。

特に台湾の公用語を「台湾語」、と誤解している人に会うと虚しくなります。
メキシコ人やメキシコにいる日本人に対して、「メキシコ語しゃべれますか?」なんて言わないと思います。

でもなぜか台湾になると「台湾語しゃべれますか?」と聞く人が多いのです。
こういった方々は本気で台湾で台湾の人にモノを売るつもりなのかと疑問に思ってしまうと同時にやはり悲しくなります….

私は日系企業が台湾や海外にどんどん挑戦するのには大賛成です。しかしもう少し知的な日本人を台湾の人に見せつけてほしいです。

プランなしで台湾に進出して日本語を喋れる台湾の現地のスタッフを雇うと、現地の台湾人に日本人はアホだと思われてしまいます…
実際、一部の駐在員の方は残念ながら現地のスタッフに陰でアホとかなり言われています。(泣)

私はアメリカでサッカーをしていた時によくメキシカンから「あいつはアジア人だしどうせ下手だろ」みたいな目で見られていました。その当時日本サッカーは弱かったですし、しょうがないのですがドリル式の練習を日本でしてきた僕の技術は彼らより圧倒的に上で、ものすごく悔しい思いをしました。

日本の商品やサービスは素晴らしいものばかりなのに、担当者のコミットメントが低いと台無しになってしまいます。台湾進出を促すプロモーターは、無責任に台湾のいいことばかり言ってきます。

「台湾の越境 EC は好調」、「台湾では定期が好調」、「台湾事業単月黒字化」とセミナーで美辞麗句を並べる人がいるそうですが、それはごく一部です。

これらの言葉を鵜呑みにして楽観的な態度で進出するのではなく、きちんとリサーチしてプロフェッショナルな日本人の姿を見せつけられれば幸いです。

少々上から目線で偉そうに聞こえたかもしれませんが、私はただもっと質のいい日本のサービスおよび商品が、台湾で普及することを願っているまでです。
このブログが何らかのお手伝いになれば幸いです。

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Leo Sato 佐藤峻

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