こんにちは!台湾でデジタルマーケティング会社の代表を務める、applemint の佐藤 (@slamdunk772) です。
今日は台湾の「賞」についてお話したいと思います。
日本でも「○ンドセレクション金賞受賞!」とか「○○賞受賞!」みたいな言葉を目にすることってありますよね?
台湾にももちろん「賞」は存在していて、特に企業活動においては「働きやすい職場賞」や「ビューティーアワード」みたいな表彰もあります。
ご存知の方も多いかもしれませんが、台湾の多くの賞って、お金を払えばもらえるものが多いんですよね😅
というか、日本に比べてそのお金を払ってもらえる賞の比率がずば抜けて多い気がします。
その背景には、先日ブログに書いたPRの話も関係しています。
今回は、台湾に進出した日系企業さんに向けて、こうした「賞」の仕組みと、賞を取得することの是非について、僕の実体験とともにお話ししたいと思います。
台湾における「賞」の正体

先日僕たちのクライアントは1通のメールを受け取りました。
メールの内容は以下です:
「御社は、この度今年度もっとも働きやすい職場ベスト5にノミネートされました!つきましては是非表彰式へご参加ください」
みたいな感じです。ここまで読むと、「やったー」と思うじゃないですか。問題はこのメールの続きです。
メールの下の方をよく読んでみると、
「つきましては参加費として10万元(約45万円)をご請求させていただきます」と書かれていたんですね😅
つまり、「ノミネートはするけど、賞を欲しかったらお金を払ってね」ということです。
こうした有償の「賞」は台湾で結構日常的です。僕は日本で一切賞を受け取ったことがないのでなんとも言えませんが、日本はどうでしょうか?
少なくとも僕のイメージだとこうした賞はあまりない気がします。
台湾ではこうした有償の賞は主に、メディアや業界団体が主催しています。たとえば、
- ビューティー系メディアによる「ベストコスメ賞」
- ビジネス誌による「働きやすい企業賞」
- IT系団体による「最先端テック賞」
など、テーマはいろいろありますが、根本的な仕組みは似ています。
お金を払えば受賞できますし、払わないと何もないってやつです。
もちろん全てがそうとは言いません。
でも、少なくとも僕の周囲で聞いたケースの多くは、支払いがセットになっていました。
しかも、金額は10万元だけで済まないことも多いです。
例えば某美容メディアの受賞プランは
- 賞A:10万元
- ロゴの二次使用料:数万万元 (数ヶ月〜1年間)
- メディア掲載枠:15万元
全部足すと平気で50万元ぐらいしますし、ミニマムでも30万元ぐらいします。
昔は意味があったかもしれませんが、最近は本当に意味がないと個人的に思っています。
昔は意味があったかもしれない

僕が台湾に来たばかりの7〜8年前は、こうした賞にもある程度の意味があったと思います。
なぜなら SNS は普及していたものの、まだまだ個人の発信量が多くなく、消費者はコスメや労働環境など旧来のメディアの情報を頼りにしていたためです。
たとえば、某美容メディアが発表する「ベストコスメ賞」などは、その当時消費者からも「信頼できる情報」として受け取られていた印象があります。
では現在はどうなったか?現在は、その某美容メディアの権威が落ちたというより、インフルエンサーや個人で情報を発信する人があまりに増え、そもそもそのメディアを見ている人が少なくなり、影響力が弱くなったと思っています。
さらに、今後1-2年はAI がレコメンドをするようになれば、こうしたメディアの影響力は更に弱まるかもしれません。
なので、「1つの媒体や団体が与える賞」の影響力は相対的に小さくなっていると僕は考えています。
台湾の消費者も気づき始めている

また、台湾の消費者側も「この賞って本当にすごいの?」と疑い始めていると思っています。
少し前までは、賞を受賞したブランドや会社があれば、何も疑わずに信じていた消費者たちも、今では「お金を払えば受賞できる」という仕組みを理解し、疑いの目を向けるようになってきました。
つまり、メディアの多様化に加えて、そもそも「賞」そのものの信頼性が、以前より落ちてきていると僕は考えています。
じゃあ、「賞」を取る意味はゼロなのか?
全く効果がないとは思っていません。ただ、その効果が発揮される人やシーンは、どんどん限定的になってきていると感じます。
たとえば、企業のブランディングにおいて「賞を受賞しました!」という実績は、ないよりはあった方がよく、一定の安心感を与える要素にはなるでしょう。
広告って、誰もちゃんとは見ていないけれど、「広告を出している会社のほうが、出していない会社より信頼できそう」みたいな、そんなイメージの話です。
ただ、効果は以前のように賞の効果は“爆発的”ではなく、“補足的”になってきているという印象です。
あくまで1つの「証明」として使う分にはアリでしょう。ただし、それを軸にプロモーションを組むのはちょっとリスキーかもしれません。
賞の取得を検討している日系企業さんへ
台湾でビジネスを始めたばかりだと、
- ブランドの信頼性がない
- 消費者に覚えてもらえていない
- 他社との差別化が難しい
など、いろいろな課題があります。
そういった中で「賞のオファー」が来ると、「もしかしてこれでブレイクスルーできるかも?」と考える気持ちも、すごくよくわかります。
でも、その「賞」が本当に意味あるものなのか、冷静に見極めてください。僕は個人的にあまりないと思っています。
「賞の取得」よりも、2025年大事なのは以下です:
- SNS上の自然な口コミ
- 顧客からのレビュー
- 自社コンテンツでの情報発信
- ショート動画やYouTube動画でのブランド体験の訴求
残念ながら、こうした施策はある程度の期間、コツコツと進めていくしかありません。
その結果、多くの会社が途中で諦めてしまい、「お金を払えばどうにかなる」と考えて賞に手を出しますが、2025年の今、有償の賞を取ったくらいでどうにかなる時代ではありません。
もちろん、「賞を受賞すること自体が悪い」というわけではありません。ただ、それだけに頼るのではなく、長期的な施策もあわせて進めていくことが大切だと思います。
以上、applemint 代表佐藤からでした!
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