こんにちは、台湾でウェブマーケティングのサービスを提供する applemint 代表の佐藤 (@slamdunk772) です。
今『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』という本を読んでいるのですが、Netflix の未来を見抜く力と、行動力にただただ圧倒されています。
詳細は控えますが、Netflix は早い段階で DVD の規格が来ることに対して準備をし、早い段階でストリーミングへの準備をして今に至るということです。
その決断力と行動力は本当に尊敬します。
Netflix の話で重要なのは未来を見据えて行動をしているということでなのですが、そもそも未来がどういう風になるか考えないとどんな行動をとっていいかわかりません。
そこでこのブログでは僕なりに広告代理業の未来はどうなるか考えていきたいと思います。
Contents
失われる広告運用業務
今プラットフォーマーと呼ばれる Facebook や Google が直接広告主と関係を持とうとしています。というか一部は持っています。
Facebook や Google は SNS や検索エンジン、Youtube といったサービスを提供しているのはみなさんご存知かと思います。
それらのサービスに人が集まるが故に、広告媒体として魅力があり Facebook や Google は広告収益を得ていることもご存知かと思います。
では、Facebook や Google に広告を出したいと思った人はどうすればいいか?
2つ方法があります:
1. 自分でやる
2. 人にやってもらう
企業は Facebook や Google に広告を出したい場合、よく #2 を選び、広告代理店に出してもらうようにお願いをします。
広告代理店はデジタル広告媒体への出稿と調整の費用を手数料として広告主に請求します。
でも本来企業はできることなら手数料を削減して、自分たちでやりたいはずです。
それが出来ない理由は以下と思われます:
1. デジタル広告の設定や広告運用が難しそう
2. 自社にリソースがない / できる人材がいない
3. 広告代理店に任せればスケープゴートができる(苦笑)
逆を返せば、Facebook 広告と Google 広告の設定や運用が簡単で、手間がかからない状態になれば、企業は広告代理店を介さずとも自分たちでできるということです。
この状態になれば、広告主は広告代理店に払っていた手数料を節約できてハッピーになります。
Facebook や Google もデジタル広告出稿のハードルが下がれば更に広告主が増えてハッピーになります。
アンハッピーになるのは中間にいる広告代理店だけです。
この動きは加速するでしょう。
デジタル広告の運用はどんどん自動化が進んでいます。
Facebook に転職した僕の友人は広告予算が大きい広告主に対しては、直接アドバイスをしています。
デジタル広告運用という参入障壁が低いビジネスは近い将来終焉を迎える可能性が高いです。
安くなるクリエイティブ
クリエイティブの単価がどんどん安くなっています。
理由は主に以下ではないでしょうか?
1. クリエイティブを作るハードルが下がった
2. 誰でもクリエイティブを作れる時代の到来
3. フリーランスや個人で働く人の増加
高いお金を払ったクリエイティブがいい効果を得られる訳ではないので、広告主は安いクリエイティブで出来るだけ CV を獲得しようとします。
安く仕入れて利益を最大化するのはビジネスの基本です。
しかしながらこれは広告代理店にとっては頭痛の種です。
例えば広告代理店の運用ビジネスは手数料が一律なため、利益率を上げるためには仕入原価が安いクリエイティブを出来るだけ高い値段で売ることが考えられます。
残念ながらこれが難しくなっているということです。
なぜなら顧客のニーズは安くクリエイティブを購入することだからです。
Kaizen Ad というサービスは顧客のニーズをきちんと捉えていて非常にうまいと思います。
使ったことはないのですが、Kaizen という企業はどうやらフリーランスの制作者のネットワークを構築し、動画広告を低コストで発注して1週間以内に届けるそうです。
顧客からしてみたらぜひ使ってみたいサービスではないでしょうか?
また、Youtube は Youtube Video builder というYoutube 用のビデオ制作プラットフォームを発表しました。
これにより動画の値下げは今後ますます止まらないでしょう。
何れにせよ、クリエイティブが安くなるという波はなくならないでしょう。
その一方で、極めて優れたクリエイティブを作る集団は引き続き高い単価で売れる可能性は残ると思います。
残念ながら中途半端なクリエイティブを作る集団はディスカウントの波に巻き込まれると思われます。
ウェブサイトの未来
Wix や WordPress、Stores や Base が出てきたことでウェブサイトや EC サイトを制作するハードルは確実に下がりました。
WordPress に関しては様々な有償のテンプレートを使えば、ドラッグ&ドロップでそれなりにいいウェブサイトが出来たりします。
ウェブサイトもクリエイティブ同様に値段が下がっていると言えると思います。
一昔前だと、ウェブサイトというと職人にしか出来ないようなものだったのが、今では多くの人が制作できるようになったことから、価格が下がった言えるでしょう。
要するに希少価値が下がったということです。
ウェブサイトのハードルが下がったことで制作費用は下がりましたが、未だにウェブサイトを制作する案件はなくなりません。
やはりなんだかんだいってみんな面倒なのかなと思います。
ウェブサイトもクリエイティブ同様、どんどん安くなるという傾向は続くでしょう。
また、本当にこだわったサイトが作れる会社はおそらく引き続き高値で制作ができると思います。
そうでない会社はどうやって安く制作しても儲けられるか考える必要があると思います。
SEO の未来
SEO は今後2つの方向性があるかなと思っています。
1. 音声検索
2. 動画検索
順に説明します。
携帯電話で文字を打つのが面倒な人が音声検索や音声のメッセージを使い始めているというニュースを目にしました。
音声検索に関する記事を以下貼り付けます:
75 Voice Search Technology Statistics And Trends
音声検索になると、今まで「台北 おすすめ カフェ」みたいに検索をしていたのが、「台北のおすすめカフェはどこ?」みたいに検索され始めます。
文字数が多い検索キーワードをロングテールキーワードと言うのですが、今後はロングテールキーワードが伸びる可能性があります。
次に動画検索について話します。
僕が Youtube を始めた理由は、applemint ブログの読者に対して読むという選択肢の他に、動画を見るという選択肢を提供したかったからです。
SEO やデジタルマーケティングの学習はブログよりも動画が主流になってきていると思います。
今現在「台湾SEO」と検索すると検索結果は以下です:
ご覧の通り、ブログコンテンツしか出てきません。
これが近い将来は検索結果に動画が反映されるようになると思っています。(一部レシピの検索などは既に動画が検索結果に表示されます)
音声検索と動画検索に加えて、モバイル検索の増加に合わせてローカル検索が増えると予想しています。
ローカル検索とは、カフェやレストラン、実店舗の検索です。
実店舗を運営される方は、Google mybusiness は当然のこと、ローカル検索で上位にくるようなコンテンツや動画の企画/制作が必要と思われます。
applemint が考えている対策
ここまで、デジタル広告運用の未来がないこと、クリエティブの単価が下がること、ウェブサイトの単価も下がることと、動画検索や音声検索が増えるであろう、ということを書きました。
つまり、applemint はこのままだと今やっている事業のほとんどは将来的にやばいということです(苦笑)
では、applemint が来たる未来に対して行なっている対策は何でしょうか?
広告運用に対する対策
僕は広告運用ビジネスは持ってあと 5年だと思っています。それ以上続いたらラッキーと思っています。
そのために出来る対策ですが…..ほとんどないと思っています(苦笑)
残念ながらどうあがいても Google や Facebook の脅威に凡人が勝てるとは思えません。
唯一していることは収入の多角化と分散です。
広告運用からの収入の比率をできるだけ下げ、ウェブサイトやその他のサービスから収入を得られるようにしています。
とりあえず広告運用という領域に対しては未来がないと思っているので、今も昔も積極的に運用のノウハウを公開しています。
最近面接をすると、広告運用を一つのスキルと捉え、広告運用ができることでキャリアアップにつながると考えている人がいるようですが、広告の自動化が進めばそのスキルは意味が無くなります。
安くなるクリエイティブへの対策
安くなるクリエイティブに対しては二つやり方があると思います。
1. 高品質と効率良化をアピールして高値を維持する
2. 安くする
applemint は一先ず #1 の道を歩もうと思っています。
しかしながら顧客は必ずより安くて良いものを求めるので1年以内に#2 の方向性に舵を切ろうと考えています。
具体的には kaizen Ad みたいに、フリーランスのデザイナーを自社で抱え、数を売る事も視野に入れています。
実際、デジタル広告は従来のロジックや PDCA というものが通用しなくなっている気がします。
どういうことか?
例えば AとB の二つのバナーを配信したら Aの方が CVR が良かったとします。この時普通は A を改善していくと思います。
しかし、場合によっては数ヶ月後 B を走らせたら B のバナーの CVR が良くなるなんてことがあります。
(ただし、僕の経験上どう頑張っても効率がよくならないバナーはあります)
なので、applemint ではバナーは勝ちパターンを探すのではなく、負けパターンを避ける方がいいのではないかと思い始めています。
あと、クライアントからしたら広告代理店がバナーを安く大量に作ってくれたら嬉しいと思います。
バナー界のルイヴィトンを目指すか、ユニクロを目指すかみたいな話になるなら、僕らはユニクロを目指したいと思っています。
安くなるウェブサイトへの対策
これもクリエイティブ同様、高品質をアピールして高値を維持するか、安くするかの2つの道しかないと思っています。
ウェブサイトに関しては、安くする道をとったら Wix のようなプラットフォームのサービスを提供するしかないのかなと思っています。
これは現実的に今のリソースでは難しく、それならばとことんデザイン力をアップし、高品質なサイトを作る方向性に舵を切ろうと思っています。
バナーはユニクロを目指すのに、ウェブサイトはルイヴィトンを目指すって言ってるようで矛盾があると思いますが、バナーに関しては安さを理由に質の悪いバナーを提供したいという訳ではありません。
効果が出るバナーを求めやすい値段で提供したいという意味です。
ちなみにウェブサイトはどういう制作を目指しているかというと、台湾にある Block Studio という制作会社のようなウェブサイトを少し目指していたりします。
ベンチマークのような存在です。
このサイトはフォントや色の統一感、レスポンシブの対応など非常にレベルが高いと思います。
こういう制作会社だったら少し高くても許せる気がします。
SEO への対策
SEO は今後音声を使ったロングテールキーワード(長文検索)と動画の視聴が増えるのではないかという話をしました。
では人々がロングテールキーワードで検索をかけるのはどういう時でしょうか?
僕の勝手な憶測だとローカル検索と簡単な情報収拾、特定の商品の検索/発注です。
ローカル検索とは現在地のお店検索やある特定の場所のお店検索を指します。
つまり「台北市のおすすめピザ屋さんはどこ?」といった検索は音声での検索が増える気がしています。
また、Amazon echo や Alexa といった音声デバイスを自分のアマゾンアカウントと同期させて、「サントリーの〜〜水2リットルオーダー」みたいなインタラクションも今後増えるでしょう。
Google でもAmazon と同様のことができるはずなので、その時は Google pay との連携や、音声を使ったローカル検索にヒットするための対策が必須になってくるでしょう。
逆にデジタルマーケティングや専門知識について調べたい時に音声検索をするのはあまり想像できません。
専門知識に関しては動画でわかりやすく簡単に消化したいというニーズがあると思います。
中田敦彦氏の動画が人気になったのは、時間がかかりそうな難しい内容をわかりやすく短くしたためと思われます。
なので BtoB や少し専門的な商品やサービスを扱う企業は動画コンテンツの準備が必要と思われます。
まとめ
まとめると、現在広告代理店の主な仕事である「広告運用」、「ウェブサイト制作」、「クリエイティブ制作」といった仕事は転換期を迎えると思われます。
広告運用に関してはなくなる日も近いでしょう。
また、ブログコンテンツを中心とした「オウンドメディア」をもっている広告代理店は動画への対策が必要と思われます。
applemint はこの未来を見据えて、2つのことを始めました:
1. 動画制作
2. applemint lab 本格始動
applemint media という動画を始めました。
次に applemint lab を企画しています。
この applemint lab を一言で言うとイベントスペース/コワーキングスペースです。
ただしこのスペースではただイベントを行うのではなく誰もやってみないけどやってみたらどうなるんだろうと思う事を色々試したいと思っています。
廃棄野菜を取り放題にしたら人は来るのか?
アルコールがないクラブイベントはうけるのか?
クラブイベントを朝にしてドリンクをすべてミックスジュースにしたらどうか?
人材のレンタル移籍ってありか?(イベントとはあまり関係ない….苦笑)
そのほか色々企画しています。
またイベント以外では誰もがふらっとカフェのように来れるコワーキングスペースを考えています。
以上!applemint 代表が考える今後のデジタル広告のあり方と対策でした!
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